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ロッテの元ドラ1位右腕・大嶺祐太のいま…イタリア旅行で「アパレルへの興味が増して…」立ち上げたブランドの“右肘デザイン”に込めた願い
posted2024/05/23 11:01
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
練習中のマリーンズベンチに懐かしい顔があった。5月14、15日に沖縄セルラースタジアム那覇で行われたバファローズ2連戦に姿を見せたのは、沖縄県石垣島出身の大嶺祐太さんだ。
2007年に、八重山商工から高校生ドラフト1巡目でマリーンズ入り。2021年まで在籍し、翌年はドラゴンズに移籍。その年のオフに現役引退した。故郷の縁から初戦は沖縄のラジオ局、2戦目はテレビ局の解説でスタジアムを訪れ、試合前にはマリーンズの懐かしい顔ぶれと旧交を温めた。
珍しいデザインの理由
目を惹いたのは、着用していたポロシャツだ。自身が手掛けるオリジナルブランドのもので、胸のマークは肘に手術の跡がある右腕。その手はピースサインを作っている。大嶺さんが19年1月に受けたトミー・ジョン手術(右ひじ内側側副靭帯再建術)を表現しているという。元プロ野球投手らしいといえば、らしい。しかし、なかなか珍しいデザインだ。
「手術はどうしてもマイナスなイメージがすごくある。だからこそ絶対に回復する、元に戻る、大丈夫だよというメッセージを込めて作りました。手術イコール暗い感じがあるけど、それをキッカケに元に戻るどころか、さらによくなる、と。前向きにとらえられるようにという思いも込めました」
大嶺さんはそう説明して、ニコリと笑った。
西野、種市にもプレゼント
実はこのポロシャツ、マリーンズの後輩選手たちにもプレゼントされていた。自身が手術を受けた翌年の20年にメスを入れた西野勇士投手、種市篤暉投手らに「同じ手術を受けた仲間ですから」と贈っていた。
「手術後のアドバイスとかをしていたのを覚えています。手術したのは肘でも、その原因は肩をかばっていたことだったりもする。だから肩のインナーを今のうちに鍛えた方がいいよ、と。手術はその時が一番のどん底。あとは上に向かっていくしかないので。みんな前向きでした」と大嶺さんは振り返る。