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ロッテの元ドラ1位右腕・大嶺祐太のいま…イタリア旅行で「アパレルへの興味が増して…」立ち上げたブランドの“右肘デザイン”に込めた願い 

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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photograph byChiba Lotte Marines

posted2024/05/23 11:01

ロッテの元ドラ1位右腕・大嶺祐太のいま…イタリア旅行で「アパレルへの興味が増して…」立ち上げたブランドの“右肘デザイン”に込めた願い<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

度重なる怪我に泣かされながらも奮闘し続けた大嶺祐太

 アパレルに興味を持ったのは現役時代のオフにイタリアへ新婚旅行にいったことがキッカケだった。ローマ、ミラノ、フィレンツェ……。当初は大好きだった本場のサッカーを見ることが目的だったが、街ですれ違う人たちの服装が強く印象に残った。

「街にいる普通のおじいちゃんたちがカッコよかった。ジーパンや革靴をしっかりとはきこなして。シーズンオフの冬だったんですが、ダウンを着て、その下に襟付きのシャツを着て、カーディガンを羽織ってと。それがすごくカッコよく見えたんです。ああいう風に自分も年をとっていきたい、と思った中でアパレルへの興味がどんどん増していきました」

「Recuperar」に込めた思い

 それから時間を見つけては衣類のデザイン画を描くようになった。現役引退後は、飲食業を営みながら、アパレルブランド作りにもチャレンジしたいと決意。最初に作ろうと決めたのが、トミー・ジョン手術をイメージしたこのデザインだったという。下絵を描いてもらったのは、マリーンズの後輩選手。そこに「Recuperar」というスペイン語の刺繍を入れた。日本語に訳すると「回復する」、「取り戻す」に加えて「好転する」という意味もある。そこには、大嶺さんの強いメッセージが込められている。

「最初のデザインはこれにしようと決めていました。これからトミー・ジョン手術をする人もたくさんいる。その力になればと思って」と大嶺。完成した昨年からインターネットで販売を開始し、好評だという。現在はラインナップが限られているが、「入りやすいのはTシャツやキャップだった。ただ、ゆくゆくはイタリアの人たちが街で来てくれそうな革ジャンとかを作りたいという夢があります」と瞳をキラキラと輝かせる。

「あの時のことを忘れないように」

 5月14日の1戦目。西野が5回を投げて1失点で3勝目を挙げた。「ボクも大嶺さんからアパレルをいただいて、めちゃくちゃ着ていますよ。あの時の事を忘れないように。大嶺さんが最初に手術をして色々と教えてもらい、励ましてもらった」と西野は振り返る。5月15日の2戦目は種市が先発。8回無失点ながら勝ち星はつかなかったが、気迫のこもったピッチングを見せた

 バックネット裏の解説席で2試合を見守った大嶺さんは、優しい目をグラウンドの後輩たちに向けていた。

「西野と種市。偶然ですけど、“トミー・ジョン仲間”が好投してくれた。すごく嬉しい2日間でしたね」

経営者として多忙な日々

 現在は東京・門前仲町で手羽先と石垣牛など故郷から取り寄せた食材をつかった飲食店を経営している。大嶺夫婦とアルバイト4人で仕込みから片付けまで行う忙しい日々を送る。

「野球と一緒で準備を大事にしている。どんな時も絶対に手を抜かないことを心掛けています」

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