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星野仙一が猛批判「あなたたちは時代が止まってる」年俸10億円説も…“巨人・星野監督”、なぜ誕生しなかった? 落合博満も星野も巨人OBから嫌われた理由 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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posted2024/05/12 11:01

星野仙一が猛批判「あなたたちは時代が止まってる」年俸10億円説も…“巨人・星野監督”、なぜ誕生しなかった? 落合博満も星野も巨人OBから嫌われた理由<Number Web> photograph by KYODO

じつは2005年に巨人監督の有力候補になっていた星野仙一。その後、日本代表監督を経て、楽天監督を務めた

「どうも今年(96年)の6月頃には、フロントは俺を切りたいという意向を持っていたようなんだ。ところが、その意向が渡辺(恒雄)社長に伝わり、社長はフロントを呼び出した。で、『落合の3年間の実績を踏まえた上で、来年の処遇をどうするか考えろ』とフロントに命じたんだ。社長は、今年で俺との契約が切れるけど、来年(97年)も契約するということを前提にして数字(年俸)をきちっと出して報告しろ、という意味で言ったんだよ」(不敗人生 43歳からの挑戦/落合博満・鈴木洋史/小学館)

 そんな舞台裏は微塵も感じさせず、落合はバットで結果を出し続ける。7月3日のヤクルト戦、6回表無死一塁でブロスの149キロのストレートをとらえ、左翼スタンドへ第16号アーチ。これが史上7人目の通算500本塁打で、2025試合目の到達は王貞治に次ぐ歴代2位のスピード記録。42歳6カ月は史上最年長での達成だった。スポーツ各紙が1面トップで快挙を報じるも、本人のコメントは「直球しか待っていない。それしか打ってないからね」と素っ気ないものだった。

「モテるんだから、いいんじゃない」

 実はこの頃、写真週刊誌『フライデー』に落合が16歳年下の女性と一緒にいる写真が掲載されるが、信子夫人は「今回、写真を撮られたことについては、なんとも思っていません。私は、落合が無名で年俸360万円の頃からパンツ洗って、靴下洗ってきたんだよ。いまモテているといっても、それは年俸(が高いことで)だからね。モテるんだから、いいんじゃない」(週刊現代1996年7月27日号)なんてマスコミには余裕の対応を見せ、オレ流の密会騒動はすぐ沈静化した。

 そして、ついに長嶋巨人が息を吹き返す。7月9日、札幌円山球場での首位広島との直接対決。2回二死走者なしから日本タイ記録の9者連続安打で一挙7得点。この試合を10対8で制すると、翌10日の第二戦も先発ガルベスが自らホームランを放ち、完投勝利で連勝を飾る。勢いに乗ったチームは順調に白星を重ね、7月16日に7ゲーム差に詰めた長嶋監督はご機嫌に宣言してみせた。

「松井はいま20本。残り試合で20本を打って40本になればミラクル。2年越しのメークドラマとなるでしょう。皆さんは信じていないかもしれないけど、今年は自然界も荒れている。野球界も荒れたっておかしくありません」(月刊長嶋茂雄Vol.12「10.8」と「メークドラマ」/ベースボール・マガジン社)

<続く>

#39に続く
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