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[格闘家とアニメプロデューサーの異色対談]須田泰雄×武尊「餓狼伝」を通して日本アニメ、格闘技の魅力を世界に。
posted2024/05/30 11:00
![[格闘家とアニメプロデューサーの異色対談]須田泰雄×武尊「餓狼伝」を通して日本アニメ、格闘技の魅力を世界に。<Number Web> photograph by Shiro Miyake](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/1500wm/img_db82ebcb3e3e332d70b353d93eab73aa148032.jpg)
左から須田泰雄(株式会社アニマ&カンパニー代表取締役社長兼アニメーションプロデューサー)、武尊(格闘家)
text by
![二宮寿朗](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/d/-/img_fdcde79c67157a4b29c5f3719f67f36a58620.jpg)
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shiro Miyake
夢枕獏の格闘小説「餓狼伝」をベースにした「餓狼伝: The Way of the Lone Wolf」がNetflixにて5月23日より世界配信された。本作品は世界を舞台に戦う格闘家の武尊らが実写ユニットとして参加するなど、リアルな格闘シーンが追求されていることも大きな見どころ。アニメ制作を担当したアニマ&カンパニーの須田泰雄アニメーションプロデューサーと武尊による“異色対談”が実現した。
須田 武尊選手をはじめ実写ユニットとして参加していただいたファイターのみなさんにはとても感謝しています。スパーリングや実戦の動きをしっかりと作品に落とし込んで、今までにないアニメーションの格闘シーンをつくることができました。
武尊 自分の動きがどのようにアニメになっていくのか初めてのことだったので撮影はかなり緊張しましたね(笑)。
須田 武尊選手の試合は、いつももの凄く胸にグッとくるんですよね。戦いの中に「美意識」みたいなものを感じます。まさに「餓狼伝」が持っている“果たし合い”の世界観を表現できるのは武尊選手しかいないと考え、オファーさせていただきました。
武尊 自分の中では華麗な戦いが「美」ではなく、お互いに全力を出し尽くして、最後は根性をぶつけ合える戦いが一番美しいのかなって思います。自分にダメージがないままに相手を倒せたら最も安全だし、僕もそうなるように練習してはいるんですけどね(笑)。
須田 スーパーレック選手と戦った1月の試合も有明アリーナに観に行きました。
武尊 1ラウンドに足の骨を2本折って、太ももも筋断裂しましたけど、そもそも格闘技はやるかやられるかの世界だと僕は思っています。サムライの時代なら殺されているわけじゃないですか。でも最後まであきらめない姿勢に、パワーや感動を受け取ってくれる人がいたら嬉しいですし、これからもそういう戦いをやっていきたいとは思います。
須田 アニメの作品において世界観をつくっていくのはディテール。たとえば登場人物の一つひとつの所作にまでこだわって、どういう生活をしているかまで観ている人に伝えることで作品の魅力自体がアップしていきます。今回、特に力を入れたディテールで言えば、格闘シーンにおける音。打撃の重さをきちんと表現したいと思って、そこは凄く頑張りました(笑)。普段、格闘技をあまり観ないような人にも“オーッ”と思っていただけるんじゃないか、と。