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ベッツ絶好調は「大谷翔平ドジャース加入効果」では…身長175cmも打率.520、内外野で好守、ボウリングまで「憧れて当然」31歳の超万能伝説
posted2024/04/02 17:37
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
「ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」
2023年の第5回WBC、アメリカ代表との決勝戦の試合前に大谷翔平がチームメイトに話したこの言葉は球史に残るだろう。
ゴールドシュミット、トラウト、ベッツへのリスペクト
今にして思うのは、大谷翔平自身が、ポール・ゴールドシュミット(カージナルス)、マイク・トラウト(エンゼルス)、ムーキー・ベッツ(ドジャース)という、3人の選手をリスペクトし、彼こそが憧れていた――ということだ。
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ゴールドシュミットは、ダイヤモンドバックス、カージナルスで13シーズンにわたって中軸打者として活躍し、通算341本塁打(以下すべて現地時間4月1日現在)、2022年にはナ・リーグMVPに輝いている。ご存じマイク・トラウトはエンゼルス一筋14年、通算371本塁打、2014年、16年、19年とア・リーグMVPを3度受賞。
そしてムーキー・ベッツはレッドソックスとドジャースで10シーズン活躍し、256本塁打。2018年にはア・リーグのMVPに輝いている。
不動の中軸打者として長打を連発したゴールドシュミット、打撃でも走塁でも抜群のパフォーマンスを見せたトラウト、そして軽快な1番打者でありながら貢献度が極めて高いベッツ、この個性の異なる3人に大谷はMLB選手の「理想形」を見たのかもしれない。
ベッツの歴代「攻守における総合指標」が凄まじい
マイク・トラウトと6年間コンビを組んだ大谷は、今季からベッツとコンビを組む。
ムーキー・ベッツは身長175cm、82kg。193cm、95kgの大谷と並ぶとその小ささが際立つが、ベッツはすでに「大打者」と言うべき実績を残している。
今のMLBでは「WAR(Wins Above Replacement)」という指標が、絶対的な評価となっている。打撃、投球、守備のあらゆるスタッツを加味した総合指標だが、ベッツはトラウトと共に「WARの申し子」と言っても良い。