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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「J1初昇格で首位!」FC町田ゼルビア“快進撃の秘密”を新主将・昌子源が解き明かす…黒田剛監督は「負けることへのアレルギーが強烈なものが…」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/04/02 17:03
今季、FC町田ゼルビアに加入し新キャプテンを託されたロシアW杯日本代表DFの昌子源(31歳)。J1首位を走るチーム快進撃の理由を明かしてくれた
選手、スタッフらによる投票によって今季のキャプテンに就任している。開幕から札幌戦まで3勝1分けの首位。開幕直前でケガをしてしまったが、昌子が先頭に立って基準を示してきた効果が少なからず好影響を及ぼしている。
勝負に徹する町田のスタイルにおいて一つの象徴となっているのがロングスローだ。J1初勝利を挙げたアウェイの名古屋グランパス戦も、ロングスローからの流れで決勝点を奪っている。
昌子は言う。
ロングスローには“賛”しかない
「世間的にロングスローに対して賛否の声があるようにも聞いています。でも僕らのチームのなかでははっきり言って“賛”しかない。別に何m以上はダメとか、1試合何回とかそんなルールはないし、ロングで投げられる選手がいるわけですから。
守る側のセンターバックの目線に立つと、実にやっかいなんです。キックと違ってボールに勢いがない分クリアしても遠くに飛ばない。首を振ってもっと遠くに飛ばさないといけないっていう心理が働くと、ミスも多くなる。クリアしてもまたロングスローされると、気持ち的にもしんどい。相手からすれば、腹立つやろなとは思うんです。それをうちのチームは何の迷いもなくやるし、そういった一つひとつ、勝負にこだわっていくことにつながっていると思うんです」
出来すぎではなく「当たり前」
快進撃を一過性とは言わせない。
GKに谷晃生、DFにコソボ代表ドレシェヴィッチ、MFに柴戸海、仙頭啓矢らセンターラインを強固にしたうえで、平河悠、藤尾翔太といった若手のタレントが伸び伸びとプレーできている。ケガから復帰した昌子のコンディションが上がり、そして昨年J2MVPのFWエリキが復帰してくればさらに戦力が引き上がることになる。
3月30日、ホームのサガン鳥栖戦にも勝利して首位をガッチリとキープ。次節(4月3日)もホームで同じく今季負けなしのサンフレッチェ広島と対戦する。
「正直、出来すぎに思われるところはあるかもしれません。でも監督からすれば『当たり前』ですから、僕らもそう思っています。J1は首位が最下位に負けることもあるし、どこが優勝するか分からないリーグでもある。勝っても、次また強豪と対戦していくわけだから、勝負にこだわりつつ、結果に一喜一憂する必要なく戦っていきたいと思っています」
当たり前のことを当たり前にやって当たり前の結果を積み上げていく。勝者のメンタリティを刻む昌子がその先導役となる。
<後編に続く>