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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「これは初めて明かすのですが…」ロシアW杯日本代表・昌子源が語る“ロストフの悲劇” で刺さった先輩GKの言葉「まだ終わってない。まだ10秒ある」
posted2024/04/02 17:04
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
FC町田ゼルビアの主将・昌子源の流儀
リーダーというものは、さりげなく模範的な行動を取る。
FC町田ゼルビアの新キャプテン、昌子源がまさにそうだった。ケガ明けから初めてベンチ入りした3月9日、町田GIONスタジアムでの鹿島アントラーズ戦。試合前のウォーミングアップを終えると、審判交流プログラムでやってきたMLSの審判団に歩み寄っていく。挨拶にしては少々長い。身振り手振りを交えてコミュニケーションを取っていた。
映像には映らないそのシーンを、彼はこう振り返った。
「まずは町田のキャプテンをやらせてもらっていると伝えて、今回ゲームキャプテンを務めるのがナンバー8の仙頭(啓矢)で、鹿島側はおそらく植田(直通)だと。なんせファイトする特徴を持つ両チームなんで(キャプテンと)うまくコミュニケーションを取ってあげてもらえれば。ちょっとエキサイトするところもあるかもしれませんので、うまくコントロールしていただきたい、みたいなことを言ったんです」
誰もがやれることではない。
昨季まで在籍した古巣にも配慮しつつ、チームの特徴が出しやすい状況を後押しした。昌子の出番は訪れず、3枚のイエローカードが出たゲームになったが、持ち味をより出し切った町田が1-0で勝利している。ただ“キャプテンだから”起こしたアクションではないという。
「Jリーグの情報をあまり持っていない審判団なんで、キャプテンじゃなくてもやっていたとは思います。これまでどのチームでも、日本代表でも、ほかにキャプテンがいるから控えめにしておこうっていう性格じゃないし、たとえベンチだろうが(チームのために)何かできることがあるんじゃないかなっていう気持ちはいつもあるんで」
当然のことと言わんばかりに、彼は真っ直ぐな視線をこちらに向けた。
「ミツさんについていけば正しい道なんだなって」
リーダー気質を携える昌子に、影響を与えてきた人物がいる。