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センバツ“ガラガラ空席”問題「ちょっと悲しいですね」「僕が営業マンだったら気にするんでしょうけど」現地で聞いた本音…“春の甲子園”で何が? 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/03/30 18:10

センバツ“ガラガラ空席”問題「ちょっと悲しいですね」「僕が営業マンだったら気にするんでしょうけど」現地で聞いた本音…“春の甲子園”で何が?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

空席が目立つセンバツ甲子園。選手・監督に印象を聞いた

“魔物”も「甲子園のおもしろさだと思う」

 また、特に夏の場合は、観客の大歓声がさまざまなドラマを生んできた。記憶に新しいところでは昨夏の慶応の優勝がそうだったし、2年前の夏、大阪桐蔭を下すという番狂わせを起こした下関国際も終盤、スタンドの割れんばかりの拍手に背中を押された。

 横道もそんな劇的な展開を心のどこかで期待していた。

「歓声で試合の流れが一気に変わる。それが甲子園のおもしろさだと思うんですけど、この観客の数だと、そういうのもなかなかないですよね。お客さんの期待が声援や拍手に変わって、こっちの気分が高まる。そうしたら自分が持っている力以上のものを出せるのかなとも考えていたんですけど、そこもいつも通りです」

「甲子園の営業マンだったら、気にするんでしょうけど」

 ただし、多くのプレーヤーは観客の少なさについて意外なほど気にしていなかった。エース番号を背負う左腕の佐藤龍月は準々決勝で、昨秋の関東大会で敗れた山梨学院に雪辱を果たし、こう力強く言った。

「自分、ぜんぜん気にしてないんで。テレビとかでも応援してくれてたと思うので、大丈夫です。今日は特にリベンジ(の舞台)だったんで、山梨学院の選手たちだけをずっと見ていました」

 また、監督も観客の多寡にまでは気が回らないというのが本音のようだった。準々決勝で健大高崎に敗れた山梨学院の吉田洸二は清峰時代から通じて三度、選抜大会の決勝の舞台を経験しているが「観客の数を気にしたことがない」と話す。

「もともと選抜は少ないというイメージしかないので。夏はけっこう多いですよね。でも、やってる僕らは、お客さんのことまで見る余裕なんてないですよ。ゲームに入っているので。僕が甲子園の営業マンだったら、気にするんでしょうけど」

 春と夏の甲子園はやはり別物である。

 静かな甲子園。そこは「等身大」というドラマの舞台だった。

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