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センバツ“ガラガラ空席”問題「ちょっと悲しいですね」「僕が営業マンだったら気にするんでしょうけど」現地で聞いた本音…“春の甲子園”で何が?
posted2024/03/30 18:10
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
「ちょっと悲しいですね……。甲子園っていうと何万人もお客さんが入るというイメージがあったので」
そう話すのは健大高崎のレフト、横道周悟だ。
全席指定も影響? 準々決勝も空席
夏に比べると春の甲子園は極端に観客が少ない。コロナ以降は、その傾向が顕著だ。去年よりはやや増えたものの、今年も1万人を切る日が珍しくなく、緑色の空席が目立つ。昨年から、全席指定および前売発売となったことも響いているようだ。
大会8日目の第1試合、中央学院と宇治山田商の試合は急きょ試合日時が変更になったことも影響したのか、今大会最少の4000人という少なさだった。
もっともおもしろいと言われる準々決勝4試合の日も、第1試合は7000人、第2試合は9000人、第3試合は10000人、第4試合は報徳学園と大阪桐蔭という地元対決だったにもかかわらず12000人にとどまった。
ちなみに健大高崎は、1回戦(学法石川戦)は9000人、2回戦(明豊戦)は8000人、準々決勝(山梨学院戦)は9000人と、3試合目まで1万人越えを経験したことがなかった。
「違う雰囲気を味わいたかったというのも…」
横道は初戦、第1打席で初球を叩き、ライト前ヒットを記録している。
「試合前は緊張したんですけど、グラウンドに入ったらそうでもなかった。よく打席の中で足が震えるとかも言いますけど、そういうこともなかったですね。第1打席も初球から振りに行けましたし、いつもと変わらない感じで試合に入れました。それはそれでいいんですけど、高校野球の最高峰の舞台で、いつもと違う雰囲気を味わいたかったというのもあります。『いつも通りできない』という緊張感も経験したかったな、と」
思い返せば昨年夏、42100人の大観衆が詰めかけた決勝では、慶応サイドの大声援で外野のかけ声がかき消され、仙台育英が致命的なタイムリーエラーを記録するというシーンもあった。横道もそんなシーンを想定し、練習を繰り返してきたという。
「普段から甲子園を意識して、大きな声を出すようにしてきました。甲子園だったら、そんな声じゃ聞こえないぞ、って。でも、いつもと同じように聞こえました。普通に守りやすくていいんですけど」
センターの佐々木貫汰も「お客さんが入っている方がいいですけど、守備はやりやすいですよ」と語っていたものだ。