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大阪桐蔭に“憧れるのをやめましょう”「また内角に行くんか」エースは笑った…2年連続撃破・報徳学園が“横綱にビビらない”2つの要因 

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間淳

間淳Jun Aida

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posted2024/03/29 18:00

大阪桐蔭に“憧れるのをやめましょう”「また内角に行くんか」エースは笑った…2年連続撃破・報徳学園が“横綱にビビらない”2つの要因<Number Web> photograph by Kyodo News

大阪桐蔭戦で1失点完投し、ガッツポーズする報徳学園・今朝丸裕喜

 2回戦に2-4で敗れた神村学園も、そうだった。

 守備からリズムをつくるチームのはずが、4失策と自滅した。小田大介監督は試合後に「大阪桐蔭を意識しない選手はいませんよ。攻める守備を掲げていましたが、守備に硬さがありました」と話している。

 だが、報徳学園は大阪桐蔭のネームバリューに恐れを抱いていない。昨年のセンバツでは5点差をひっくり返して勝利。昨秋の近畿大会では3-4で敗れたものの、互角に戦った。

 報徳学園の選手たちは声をそろえる。

「自分たちの野球をすれば大阪桐蔭にも勝てる」

「きょうの球威と制球は大阪桐蔭打線より上」

 そして、その自信は根拠に基づいている。

 大阪桐蔭に勝る、絶対の自信を持つ要素が2つある。

 1つ目は、大黒柱となる投手2人の制球力と経験。報徳学園の2枚看板、今朝丸と間木歩投手は昨年も甲子園のマウンドに立っている。

「安定感の間木、球威の今朝丸」との指摘は過去の話。一冬越えて、今朝丸の制球力が格段に上がったことをチームメートは知っている。大角健二監督も「良い球を投げるだけの投手から勝てる投手に成長した」と信頼を寄せる。

 内角で勝負できる今朝丸のコントロールを捕手の徳田がリードで引き出した。初回から、大阪桐蔭の中軸相手でも内角にミットを構える。

「きょうの今朝丸の球威とコントロールは大阪桐蔭打線より上だと感じました。直球で押していく配球にしようと決めました」

徳田の強気のリードに今朝丸は「また内角にいくんか」

 試合序盤で自信を深めた徳田は強気のリードを貫く。内角を中心にした配球で、3番・徳丸を4打数無安打。4番・ラマルは1打席目に死球を許した後の3打席を封じた。第3打席は4球全て内角の直球でショートゴロ。9回の第4打席も5球全て直球で空振り三振に仕留めた。

 徳丸にもラマルにも内角の直球をスイングされて、大きなファウルもあった。ところが、徳田は「コースに投げ切れていたので芯でとらえられてもファウルになると思っていました。今朝丸の球が良かったので不安や怖さもなく、自信を持って内角のサインを出していました」と冷静だった。

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今朝丸裕喜
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