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「サッカーはゴールを奪い合うものなので」“ここ一番で決める男”田中碧25歳が北朝鮮戦後に語った苦戦の理由「1対0であの展開はしんどい」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2024/03/22 17:02
3月21日の北朝鮮戦で決勝ゴールを決めた田中碧。W杯予選という重要なゲームで、またしても持ち前の決定力を発揮した
「マイナスが空いてる、と。いいボールをくれたので、決めるだけだったかな、と思います」
課題は“ロングボールへの対処”だけではなく…
1月のアジアカップはメンバー外だった。準々決勝でイランに負けたチームは、ロングボールへの対応という課題を突きつけられた。北朝鮮もスカウティングをしていたのだろう。とくに後半はロングボールを多用され、自陣での攻防が増えていった。ファウルで取り消されたゴールを含め、際どいシーンも作られている。
セントラルMFの選手なら、相手にペースを握らせたくない、ボールを保持する時間を長くしたい、ゲームを落ち着かせたい、と考えたくなる展開である。ここで違う思考回路を働かせるのが、田中という選手なのだ。
「ロングボールを蹴られる以上は、ああいう展開になるのは仕方がないと僕は思っている。ロングボールの移動中はどっちのボールでもないし、それをクリアするのが当たり前なので、どっちかがボールを握る展開にはならないことが多い。そうなったときに、奪って自分たちのボールをキープすることも必要だけど、それが一瞬で相手ボールになったときにまたロングボールを蹴られる。ああいう展開のなかでカウンターから1本でも2本でも刺して、3対0とかの状況にしていければ、4点目、5点目も狙えるだろうし。1対0であの展開はしんどい部分があって、だからこそ、スコア的な優位を持ったなかでああいう展開にさせるのがいいことかな、と思います」
田中のゴールで先制した後も、日本は北朝鮮のゴールに迫っている。決定機を確実に仕留めていれば、前半だけで3対0にすることはできていた。「ロングボールを蹴られた、そしてイラン戦のように押し込まれた」という現実のすぐそばには、追加点を取れなかったという明確な課題がある。
「相手ボールになったらロングボールが来るので、2点目、3点目をどうやって取るのか。それは前半からそうですし。前半もう1点取れていれば、楽になったかもしれないし。サッカーはゴールを奪い合うものなので、そこはまだまだやらなきゃいけないと思います」