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「サッカーはゴールを奪い合うものなので」“ここ一番で決める男”田中碧25歳が北朝鮮戦後に語った苦戦の理由「1対0であの展開はしんどい」
posted2024/03/22 17:02
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
決めるのだ。ここぞというゲームで、田中碧はゴールネットを揺らしてみせる。
たとえば、2021年10月のオーストラリア戦である。直前のサウジアラビア戦を0対1で落とし、カタールW杯アジア最終予選突破に黄信号が灯った一戦で、鮮やかな先制点を蹴り込んだ。最終予選初先発で決めた代表初ゴールは2対1の勝利につながり、チームはここから6連勝を飾ってW杯出場権を勝ち取ったのだった。
カタールW杯でもやってのけた。グループステージ突破のためには勝利が必要なスペイン戦で、1対1で迎えた51分に決勝弾をプッシュした。あの“三笘の1ミリ”を、得点へつなげたのはこの男である。
23年9月のドイツ戦でも、途中出場からダメ押しのヘディングシュートを突き刺している。不敗神話などと騒ぐつもりはないが、彼が得点した試合はすべて勝利している。
田中碧の嗅覚「ここで待っていたら来るかな」
3月21日に行なわれた北中米W杯アジア2次予選の北朝鮮戦でも、田中のゴールが勝利を呼び込んだ。
キックオフからわずか2分、左サイドへの縦パスを前田大然が相手DFと競り、一度はボールを保持されるもののすぐに奪い返す。距離を詰めていた上田綺世へボールがつながり、ヒールパスでポケットと呼ばれるスペースへボールを流す。受け手となったのは田中だ。
「綺世がディフェンスを2枚引きつけていて、その前に眼が合ったので、あまり顔を出さずここで待っていたら来るかなと。すごくいいパスをくれたので、律がファーにいるのは見えてましたし、欲を言えば律が直接決めてくれたら良かったかなとは思いますけど」
田中がペナルティエリア内右へクロスを入れると、堂安律がヘディングで合わせる。シュートではなく折り返しのようになったボールに南野拓実が反応するが、インパクトしきれずにボールは堂安のもとへこぼれる。背番号10がグラウンダーのクロスをマイナスへ入れると、背番号17がフリーで走り込んでいた。