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プロ野球界の大問題「獲る球団・獲られる球団の2極化」「じつは移籍しづらい」選手会に直撃“どう変えたい?” メジャー流FAには「反対」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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posted2024/02/16 11:07

プロ野球界の大問題「獲る球団・獲られる球団の2極化」「じつは移籍しづらい」選手会に直撃“どう変えたい?” メジャー流FAには「反対」<Number Web> photograph by KYODO

日本プロ野球選手会の会長を務める會澤翼(広島)

 松本弁護士は言う。

「日本の球団に入団してからプレーする5年間が、選手のキャリアにとって有意義だって思ってもらえるかどうかが大事だと思います。會澤会長がおっしゃるような勤続疲労なく、じっくりした育成ができて、そこからの選択肢がいろいろ生まれるのであれば話は変わってくるのではないかと。そのタイミングでもう一度日本を選んでもらってもいいし、アメリカに挑戦するという選択肢を持たしてあげるというのが日本の野球界でできることじゃないかなと思います」

移籍活性化で“やりきった選手”を増やしたい

 野球界はどこを目指していくか――。

 日本の野球界としての方向性が議論されるべき時に来ている。日本でプレーすることがキャリアのマイナスになるとしたら、早期に海外移籍を考える選手も出てくるだろうし、佐々木麟太郎のようなケースが今後増加していくことも考えられる。

 野球界の未来を、NPBと選手会の双方が考えていくべきである。労働環境の改善により選手が気持ちよくプレーでき、それが結果的に、野球界の発展にどうつながるのか。

 森忠仁事務局長は現状から目指すべき着地点をこう説明した。

「FA権が取りづらいのが現状で、一つの球団でキャリアを終える選手が多かったりする。そうなると“やりきった感”というのを持てないように思います。それは一軍で活躍できない選手も同じです。他の球団の戦力状況などが見えると『あの球団に行っていたら試合に出れたんじゃないか』って悔いが残ると思うんですよ。やりきってユニフォームを脱ぐ。全員がそういう世界になったらいいなと思っています」

 このオフはさまざまな騒動があっただけに、日本の野球界のあるべき姿が議論されていくことを願いたい。

〈第1回「人的補償は廃止すべき?」、第2回「佐々木朗希らスター脱退」からつづく〉

#4に続く
「選手会に入っている意味がないと判断された」佐々木朗希ら脱退…會澤翼会長が“本当に伝えたかったこと”「麟太郎くんのケースも今後増える」―2024上半期読まれた記事

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