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プロ野球界の大問題「獲る球団・獲られる球団の2極化」「じつは移籍しづらい」選手会に直撃“どう変えたい?” メジャー流FAには「反対」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKYODO
posted2024/02/16 11:07
日本プロ野球選手会の会長を務める會澤翼(広島)
しかし、プロ野球選手会は「国内移籍」を軸に交渉を進めている。選手の国内移籍をより自由にさせることが最優先課題だ。なぜ選手会はFA短縮を求めるのだろうか。
FA取得年数の短縮を求める理由
會澤会長は「高卒か、大卒などにより異なる」と前置きした上で、自身の経験を踏まえて次のように話す。
「僕は高卒でプロに入ったんですけど、高卒の選手は40歳までプレーするのが大変なんです。なぜなら“勤続疲労”があるからです。18歳、19歳から一軍、二軍で毎日試合をして、泥だらけになるまで練習していたら、ピークアウトが早くなるんですよね。僕自身の経験からもFAは早く取りたかったなというのがある。一方で、社会人の選手は入団が遅いので、FAを取ったときには30歳を超えている。(FA取得日数を)1年でも短くしたら、人生が変わるんじゃないかという思いがある」
選手の“ピーク期”は移籍させたくない球団
当然、球団側も「選手のピーク」は重視するだろう。育った球団でピークを迎えてほしいという思いがあるはずだ。チーム間の戦力を均衡させたいというNPB側の要望もある。戦力が均衡していなければエンターテインメントとして成り立たない、と。
「僕はあくまで選手側の立場なので、戦力均衡は正直どうでもいいと思ってしまう。一方で、経営者側は絶対に均衡させたいだろうという気持ちもわかります。僕が経営者だったらゲーム差が開くようならファンは球場に足を運んでくれなくなると考えるでしょうから。ただ僕は選手会会長として、選手側の意見をファーストで考えたい。一人でも多く、願いが叶えられるようになればいいなと」
ではメジャーリーグのように、「自動FA」にすればいいのでは、と思う。