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人的補償パニック「あれだけ世間騒がせた…説明の義務ある」見えない移籍交渉のナゾ…選手会・會澤翼が語る“制度を廃止すべきか?”
posted2024/02/16 11:05
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
JIJI PRESS
個人事業主(選手)と雇用者(球団)の待遇改善交渉などを行い、ほとんどの日本人選手が加入している組織、日本プロ野球選手会。今オフ物議を醸した人的補償、球界スター選手の脱退に対する選手会の本音とは。会長・會澤翼氏(広島)、事務局長・森忠仁氏、顧問弁護士・松本泰介氏がロングインタビューで語った。第1回は「人的補償問題」について。〈全3回の1回目〉
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春の香りが漂うプロ野球キャンプ期間中、日本プロ野球選手会は12球団を訪ねて回る。一般企業における「労働組合」にあたる選手会は会長の會澤翼を中心に、プロ野球選手たちの労働環境を改善させるための議論を進めている。
このオフはさまざまな問題が明るみに出た。まず、ソフトバンク山川穂高選手のFA移籍にともなう人的補償――FA移籍する選手が高額年俸である場合、譲渡する球団に対して獲得する球団が金銭と選手1名を移籍させる補償――で移籍する選手の情報が二転三転した一件だ。ファンを置き去りにしたかのような一連の動きに、改めてFAや補償制度のあり方が問われた。
2月7日のカープ日南キャンプには、選手会の事務局長・森忠仁が訪れた。選手会に所属するカープ選手たちとの会合のためである。そのミーティング前に、會澤会長、森事務局長、顧問弁護士の松本泰介氏にこのオフに噴出した問題について尋ねた。
和田・甲斐野ともにプロテクト外だったのか?
筆者が最も尋ねたかったのは、FAや人的補償が目に見えないところで進むため、ファンを置き去りにしているのではないかという点である。ソフトバンクと西武の間で起きた、山川穂高のソフトバンク入りと、人的補償選手の選定過程で和田毅選手から一転して甲斐野央選手に転じた報道を選手会はどう見たのだろうか。會澤会長は言う。