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「選手会に入っている意味がないと判断された」佐々木朗希ら脱退…會澤翼会長が“本当に伝えたかったこと”「麟太郎くんのケースも今後増える」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/02/16 11:06
日本球界のスター、佐々木朗希(ロッテ)
いずれにせよ、スター選手の脱退は選手会がポスティングを勝ち取ったという背景を伝えきれていないところに起因するのではないか。森忠仁事務局長もその点を受け止めている。
「彼らが脱退するってことは、やはり選手会に入っている意味がないと判断されたということだと思うので。會澤会長や先代の会長、選手たちには申し訳ないと思っています」
日ハム時代、大谷翔平は脱退せず
森事務局長の謝罪を受け止めながら、會澤会長が言葉に力を込めた。
「入会しているメリットも必要ですけど、僕はそういう利益だけじゃなくて、野球人口が減ってきている中で少しでも野球界の環境を……っていうところも考えていきたいです。花巻東の佐々木麟太郎くんがアメリカの大学に進学を決めましたよね(取材後、スタンフォード大進学が発表)。今後、こういうケースは増えるのかなと思います。向こうの方が施設もいいし、最先端。彼の挑戦は悪いことではない。ただ、僕らは日本のリーグ、プロ野球、アマから盛り上げていきたい。大谷くんがグローブを全国の小学校に寄贈してくれました。すごくありがたいことです。そんな大谷くんは日本でプレーしている時は選手会を脱退しなかったわけです。先ほども言いましたけど、10年後、20年後のプロ野球選手のために僕らはやっている。そういう発想を会員が持てるような選手会にしたいと思っています。だから、やっぱり今回のことは寂しいです」
同期入団の前田健太(現タイガース)を羨みながら、メジャーに行く夢を断念した。だから、夢を追いたい気持ちはわかる。しかし、どこで野球をやろうとも、心のどこかに将来の日本野球のことを考える選手が1人でも増えてほしい――。會澤会長が語った「寂しい」の行間には、そんな切実な思いが詰まっていた。
〈つづく/第3回『「佐々木麟太郎のアメリカ行き」どうする日本プロ野球?』編〉