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「選手会に入っている意味がないと判断された」佐々木朗希ら脱退…會澤翼会長が“本当に伝えたかったこと”「麟太郎くんのケースも今後増える」 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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posted2024/02/16 11:06

「選手会に入っている意味がないと判断された」佐々木朗希ら脱退…會澤翼会長が“本当に伝えたかったこと”「麟太郎くんのケースも今後増える」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

日本球界のスター、佐々木朗希(ロッテ)

FA、ポスティング導入に尽力した選手会

 1993年オフに導入された「FA制度」(資格条件を満たした選手があらゆる球団と契約ができる権利)も歴代の選手会の尽力があってのものだったし、2022年オフに選手会が実現させた「現役ドラフト」も球界内外で評判がいい。プロ野球の労働環境は、少しずつ改善されてきている。海外でプレーしたい選手からすれば“必要のない組織”にみえてしまうかもしれないが、選手会の意義は、選手個々の損得だけではなくプロ野球界全体の環境改善を図ってきたところにある。

 もっとも、「所属しているメリットがない」と見られてしまったことは選手会が反省すべき点でもあるだろう。取材中も感じていたことだが、選手会は、国内移籍についてや、今後も国内でプレーを希望している選手の労働環境の改善に注力している。見方を変えれば、メジャーに挑戦したい選手についての優先度は高くない。一方で、ポスティング制度を選手会が勝ちとったという歴史はある。ポスティングがあったため、ダルビッシュ有や大谷翔平ら、海外FA権を持たない選手がメジャーに移籍できた。

 選手会の顧問弁護士、松本泰介氏は言う。

「ポスティングのルールはメジャーリーグとメジャーリーグ選手会、NPB、プロ野球の選手会で作ったルールなんです。だから私たちは実現にかなり関与しているんですよ。現状のポスティングのルールは、すごくよくなっている。球団の許可さえ下りれば、FAと遜色のない制度といえる。今あれだけ日本人選手の年俸が高騰しているのが証拠だと思います」

あくまで“日本野球”の改善に注力

 佐々木や、過去に脱退した山本由伸は、選手会の功績を知らなかった可能性がある。むしろ――これは筆者の推察だが――選手会にいることが球団のポスティング容認に影響を与えるのではないか、という疑心暗鬼もあるのかもしれない。

 事実、メジャー挑戦をしたい選手と、選手会が目指していることが乖離している側面もある。選手会は国内移籍の環境整備に従事していて、それは會澤会長の「海外移籍に関してはポスティングという制度があるし、交渉(すべき直近の議題)の一つにするという考えは頭にない」という言葉に集約されている。

【次ページ】 日ハム時代、大谷翔平は脱退せず

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