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核心にシュートを!BACK NUMBER
失態のイラク戦翌日「そういう時こそ日本は力を発揮するんじゃないっすか!?」堂安律と森保Jの“テレビに映らない危機感”「声出して!」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2024/01/21 17:02
ベトナム戦の堂安律。カタールW杯でも見せた度胸を、アジア杯で見せられるか
「純也くんとは違うスタイルで、中に入って絡んでいこうと思いました。圧倒的にシュートがなかったので。『とにかくシュート打たないと』と思いながら……」
明確なイメージを持って試合に入ったからこそ、堂安は悔しがる。
出場から3分もたたない場面だった。南野拓実からのヒールパスで、守田英正が右の深い位置をとり、折り返した。しかし、丁寧に左下を狙った堂安のシュートはブロックされた。96分のコーナーキックからのこぼれ球に反応して放ったシュートは、左上へと外してしまった。
「イメージ通りできたと思うんです。僕がチャンスで決めていれば変わっていたと思うのに……」
このように、後半から日本の攻撃が改善されたのは間違いない。
久保「うまくいかなかった時に、違ったやり方が…」
だが、イラクは5バックで守備を固めるというプランBがあり、65分、ロングスローの名手アドナンの投入のタイミングで、そのアイデアを実行してきた。
前述のように日本はチームとして厚みのある攻撃はできていたが、最後は人数と気持ちで上回るイラクにことごとく跳ね返されてしまった。
久保建英はこう振り返る。
「今の代表で特長となっているサイドからクロスオーバーとかをかけてクロスを上げる展開はありましたけど、結局、相手は中に背の高い選手がいっぱいいて、ニアの速いボール以外はほぼ弾かれていた。うまくいかなかった時に、違ったやり方が……。
チームとしてサイドから崩していくっていうのがテーマだったので、それを試合中にみんなで変更するのは難しい部分があるので。相手にうまく対応されたのかなと」
日本が取り組んでいるのは「再現性のある攻撃」だ。
そのメリットはチームとして攻めの型を持てること。
デメリットは、再現性があるがゆえに、相手に対策を立てられやすいこと。
一昨年のカタールW杯のスペイン戦とドイツ戦の両方でゴールを決めた堂安はあの大会を引き合いに出して、こう語る。
「僕たちがW杯でドイツとやるように、(アジアの)相手は僕たち日本とやるときに『王者に一泡吹かせてやろう』とやってくる感じです。
だからこそ、1つ目のオプションを抑えられた時には2個目のオプションを引き出す。そんな能力が必要ではないのかなと思います」
あまりに痛い敗戦から翌日、選手たちの表情は?
W杯のグループリーグで日本と対戦するような優勝経験国は日本の攻撃をそこまで研究してこないかもしれないが、アジアのチームは違う。日本が絶対的立場にあるからこそ、必死になって日本を研究してくる。
日本としては、攻めの型を持ったうえで、それを応用したり、裏をかいたりしないといけない。それができなかったことが、72.3%もの支配率を記録しながらも1点しかとれなかった原因だった。
グループステージ首位通過の可能性が消えるなど、イラク戦はあまりに痛い敗戦だった。高い授業料を支払ったのは間違いないが、今大会を通じてクリアすべき課題は明確になっている。
失意のイラク戦翌日――。
もちろん、練習は行われた。