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核心にシュートを!BACK NUMBER
《日本1-2イラクの真相》「ドイツ戦のような気持ちを相手が…」強豪撃破時できたはずの「反省不足な屈辱的データ」伏線はベトナム戦にも
posted2024/01/21 17:01
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Etsuo Hara/Getty Images
鐘は鳴れども、心には響いていなかった。
イラク戦の失態は、“180分”を戦っての敗戦である――。
初陣であるベトナム戦の2日前、森保一監督は選手たちに向けて宣言した。
「(アジアカップ決勝まで)試合は7試合ある。完全にターンオーバーは……。完全に約束して、『1回、1回、みんな代えます』『“仲良しクラブ”(のような形)でみんなに同じだけ時間を与えます』ということにはならない」
メンバーに選ばれたからといって、無条件に先発の座を得られるわけではないというメッセージだ。
森保監督にイラク戦先発の意図を尋ねると
ただ、これは昨年からの流れとは逆行するものだ。カタールW杯、それを経た2023年は、試合ごとにスタメンを大幅に入れ替えてきた。それが厳しい競争から来るパワーと良いリズムを生んだ。
その背景にあったのは監督のプランニングである。W杯では決勝まで最大8試合を戦わないといけない。短期間の大会を勝ち抜くため、2~3チーム分を構成できるくらいの厚みを選手層に持たせる。その考えはロジカルであり、野心的だった。そして、これは野心を抱く選手たちと上手くマッチしている感覚があった。
それなのに……。
日本はベトナム戦からスタメンを2人しか代えなかった。イラクは、初戦からスタメンを5人も入れ替えてきたというのに。
1年間かけてやってきた流れをわざわざ崩したのは何故なのか?
試合後に監督に直接尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「これがベストだと思ったから……それだけかな、と。ベトナム戦で課題が出た中で(スタメンを大幅に)代えるのではなくて、ベトナム戦の“課題を修正するため”にもう一回(先発した)選手たちにプレーしてもらうことも大切だと思います」
森保監督の決断はロジカルだった
セットプレーの守備というわかりやすい課題だけではない。ベトナム戦では「全てのベースとなるプレーの強度が低く、セカンドボールを拾えず、デュエルで負ける」という課題が残った。
そうした課題を修正させるために、多くの選手を再び先発として送りこむ。そこから読み取れるメッセージは大きくわけて2つある。