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核心にシュートを!BACK NUMBER
《日本1-2イラクの真相》「ドイツ戦のような気持ちを相手が…」強豪撃破時できたはずの「反省不足な屈辱的データ」伏線はベトナム戦にも
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2024/01/21 17:01
アジア杯イラク戦での森保一監督。ここからチームをどう立て直していくか
今度こそはしっかりやってくれるだろうという信頼。
自分たちで反省してカムバックすべきだという厳しさ。
確かに、ターンオーバーをすると、前の試合の課題は忘れられがちになる。ベトナム戦の過ちを二度と繰り返さないように、危機感を選手たちの胸に刻み込ませるために、というのは理にかなっている。
この部分での監督の決断は、ロジカルだった。
ベトナム戦前半の“屈辱的なデータ”とは
何しろ、ベトナム戦の前半は2失点したという事実以外に、屈辱的なデータを残してしまったのだから。
日本のデュエル勝率:46.5%
ベトナムのデュエル勝率:53.5%
もちろん、前線からのプレスがはまらず守備で後手に回ったことが、デュエルの勝率を下げた側面はある。しかし、だ。ベトナムという国も、その国民も、彼らのサッカーもリスペクトした上で書くが……。
W杯に一度も出たことのないアジアのチーム相手に、この状況は「W杯優勝を目指す」チームとして許されるものではない。
リーダーシップを発揮しようとする選手はいた。例えば、冨安健洋。あの試合をピッチの外から見ていたのに、自分事のようにとらえ、警鐘を鳴らしていた。
「もちろん、(守備が)オーガナイズされた中で強度が高い状態がベストではありますけど、オーガナイズされていないとしても、強度でまかなえる部分はあると思っていて。それに、オーガナイズされていない状況は今後も起こり得る。強度は(守備をする上での)ベースになってくると思います」
だから、ピッチに立つ場合の振る舞いについて、こう宣言した。
「後ろから(『全力でプレスにいけ!』と)言おうと思っています」
イラク戦の前、確かに鐘は鳴らされていた。
しかし結果を受ければ、多くの選手の心に響いていなかったことになる……。
イラクは立ち上がりからフルスロットルだった
イラクが伊東純也の良さを抑えようとしてきたのは、ベトナムと同じだ。イラクもまた、伊東とマッチアップするポジションの選手を代えてきた。伊東封じを任された25番のアルハッジャージは、今大会初めてスタメンで送り出された。
そして、日本の事前の予想に反して、守備的な5バックではなく、攻撃的な4バックを彼らは採用してきた。最近の試合で立ち上がりの良くない日本を研究したからだろうか。試合開始時からフルスロットルで飛ばし、先手をとったうえで、試合途中から守備的に戦うプランを持って挑んできた(実際に65分に5バックへ移行した)。
グループリーグ第2戦。コイントスで勝ったイラクのキックオフで試合が始まると、序盤からイラクがゴールに迫ってきて、日本は守勢に回った。そして、開始5分で失点した。