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核心にシュートを!BACK NUMBER
《日本1-2イラクの真相》「ドイツ戦のような気持ちを相手が…」強豪撃破時できたはずの「反省不足な屈辱的データ」伏線はベトナム戦にも
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2024/01/21 17:01
アジア杯イラク戦での森保一監督。ここからチームをどう立て直していくか
この失点はスローインの流れからで、前節に続きセットプレーから痛い目を見た。ただこれは、全体がエリアを固めるような形で下がりすぎ、ロングスローを頻繁に用いる相手をリスペクトしすぎた感がある。ロングスローの名手であるアドナンはベンチスタートだったのだが……。
何より、エリア付近を固めていながら、そこで上手く対応できなかったのが痛かった。最後は左サイドのエリアにさしかかるところから、伊東対策で送り込まれたアルハッジャージが出した縦方向へのパスに反応したジャシムへ。これで板倉滉がつり出されて中央が開いてしまった。ジャシムのクロスを鈴木彩艶がはじいたところにいた巨漢FWフセインにフリーでヘディングシュートを許し、先制された。
“伊東対策”の相手が2ゴールの起点となる皮肉
そして、前半のアディショナルタイム。セカンドボールを上手く拾えないでいた日本は、菅原由勢が右サイドで1対2の状況でルーズボールを競りにいった。だが、これが相手のアルハッジャージの元へこぼれ、日本の右サイドのスペースへと運ばれてしまう。そこからのクロスを、伊藤洋輝の前へ入りこんだフセインに再び頭で押し込まれ0-2に。日本選手のほとんどが「あの2点目が痛かった」と振り返る失点だった。
試合後、守田英正は責任を口にしている。
「1失点目の(シュートのところで)僕が競り切れない部分もそうですし、2点目の洋輝が前に入られてしまうのもそうですけど、2つとも対応するのは簡単じゃないんですが……結局、最後に勝敗を分けるのは、ああいう細かい部分なので」
イラクは守備時の伊東対策としてアルハッジャージを起用してきたはずだが、その選手が2ゴールの起点になったのは皮肉な展開だった。
もちろん、ピッチ上で起きた問題をあげようと思えばきりがない。
南野拓実の左サイド起用と伊藤の相性、センターバックの選択、伊東任せになったがゆえのアタッキングサードでの工夫と動きを欠いてしまった日本の選手たち――。
ただ、最大の問題はそこではない。
ドイツ戦でできていたはずのデュエル強度が…
日本は、ベトナム戦の反省を活かせていなかったことに尽きる。
なにしろ、イラク戦での前後半における(速報値での)日本のデュエル勝率は以下のようなものだったのだから。
前半:49.2%
後半:48.6%
どちらも50%に満たない。日本はまた、デュエルの競り合いで負けていた。思い出してほしい。
昨年の日本代表のベストゲームに挙げられる9月のドイツ戦。会心の勝利の後、遠藤航のこんな発言にみんながうなずき、多くの者が希望を見出していたはずだ。