核心にシュートを!BACK NUMBER
ネット酷評→本田圭佑フォロー騒動のW杯から1年、ドイツ全SBで4位“伊藤洋輝ロール”が旬なワケ「前半は守田(英正)くん。後半は逆に…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2024/01/19 17:03
カタールW杯では批判にさらされた伊藤洋輝だが、この1年間で左SBとしての安定感を大きく増している
伊東のダイレクトでのバックパスを受けると、これまたダイレクトで遠藤へ縦パスを入れる。そして、遠藤のスルーパスに抜け出した上田綺世が相手GKと1対1の場面を作った。一連のシーンにおける意図について、こう語る。
「僕があの位置に入っていくことで、テンポを1つ上げられるかなと思っていたからです。オフサイドになりましたけど、純也くんからも良い落としがきたし、あのようにワンタッチで入れればシュートまで持っていける展開はどんどん増えていくと思う。ポジションにとらわれずではないけど、スペースがあるときには、積極的にやっていければいいかなと思います」
「前半は守田くん。後半は逆に…」
中盤の裏ボス的な存在で、攻撃時に周囲の選手の特長を出させるサポート役となるスペシャリスト守田英正との関係についても、こう解説している。
「前半は守田くんが(後半の伊藤がボール保持時に務めた)ポジションをやっていました。後半は逆に、僕がそのポジションに入って、守田くんがもう1個前でプレーしました。それによって、攻撃の展開がスムーズになったんじゃないかなと思います。繰り返しますけど、僕としても自分のチームでいつもやっている形ではあったので、しっくりきたかなと思います」
とはいえ、効果的なプレーを度々出せていたのは何故だったのか。
「『なぜか?』と聞かれると難しいんですけどね……。シュツットガルトでやっている時も、相手を押し込んだときには3枚で回して、僕が中に入ったりしますから。今日の後半は特に、チームでやっているような感じにできたかなと」
シュツットガルトで担う“特殊な役割”とは
シュツットガルトでの伊藤は、特殊な役割を担っている。
3バックの左CBでスタートした試合では、守備時に“左SBのように”プレーする場合がある。逆に4バックの左SBとして出場する試合だと……ボール保持時には“ボランチの中盤の底”にポジションを上げてプレーすることが多い。
かつてグアルディオラがバイエルンを指揮していた頃、SBを務めていたアラバがこなす特殊な動きは「アラバロール」と呼ばれていた。アラバと同じように――伊藤はシュツットガルトと日本代表という監督もチームメイトも違う環境で、自分にしかできない役割、言わば「伊藤ロール」を作りつつある。