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ネット酷評→本田圭佑フォロー騒動のW杯から1年、ドイツ全SBで4位“伊藤洋輝ロール”が旬なワケ「前半は守田(英正)くん。後半は逆に…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2024/01/19 17:03
カタールW杯では批判にさらされた伊藤洋輝だが、この1年間で左SBとしての安定感を大きく増している
「今シーズンはチームでSBとしても多くプレーしてきてポジショニングだったり、そういうところの迷いがなくなった部分は1つあるかなと思います」
そういう答えになるのも当然だ。今の伊藤には、アジア各国を相手に存在感を発揮するのは当たり前の格があるのだから。
伊藤はブンデスリーガで3位にいるシュツットガルトの最終ラインで絶対的な存在であり、ドイツの老舗『キッカー』誌からブンデスリーガ前半戦の全SBの中で4位の選手として評価された。彼より上にいるのは首位を快走するレバークーゼンの両ウイングバックと、ライプツィヒ所属でドイツ代表のヘンリヒスだけ。
つまり、すでにブンデスリーガを代表するSBとして名を売っているのだ。
苦戦ベトナム戦でも攻撃面で光っていたプレーとは
アジアカップ初戦のベトナムとの試合でも、チーム全体の守備がハマらなかったことに端を発して、やや低調だった守備陣の中で存在感を放っていた。現在の日本代表は「再現性のある攻撃」を構築しようとしている段階である。前半では唯一、左MF中村敬斗と伊藤のコンビネーションからのサイドアタックが再現性のある攻撃として機能していた。
ただ圧巻だったのは、システムを【4-2-3-1】から【4-1-4-1】へと変えた後半、日本がボールを保持しているときだった。まれにサイドに出ていくときはあったが、基本的には内側のポジションを取る。中盤センターの遠藤航と並ぶような形の「偽SB」として、伊藤は圧倒的な存在感を放った。攻撃のスイッチを入れていたからだ。
例えば、62分のこと。
伊藤は2人のセンターバックの前で、彼らとトライアングルを形成しながら、右サイドの裏のスペースへ矢のようなパスを出す。伊東純也がスピードを活かして裏に抜けるという長所を発揮させた。
あのタイミングで伊東を活かせた理由について、伊藤はこう自己分析する。
「自分たちがバックパスしたときに相手はラインを上げるので。そのタイミングだと純也くんからすると背後に抜け出しやすいだろうし、相手としてみればラインを上げている最中だから、対応が難しくなる」
伊東純也との連係も絶妙だった
特に光ったのは74分のプレーだ。右CBの板倉滉から、左MFへとポジションを移した伊東に向けてスピードに乗った縦パスが出た瞬間だった。
板倉からのパスが出るタイミングで伊藤は、伊東のショートパスを受けられるところまで走り出していた。