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「箱根駅伝の8割はリクルーティングで決まる」古豪チームのスカウトが語る《選手争奪戦のリアル》「いまは“資金援助”か“大学ブランド”がないと…」 

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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posted2024/01/03 11:00

「箱根駅伝の8割はリクルーティングで決まる」古豪チームのスカウトが語る《選手争奪戦のリアル》「いまは“資金援助”か“大学ブランド”がないと…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

90年代~00年代に箱根路の常連だった“古豪”関東学院大。チームで13年前からスカウトを務める上野敬裕さんに昨今のリクルート事情を聞いた

「箱根駅伝を新たに目指す新興校や、関東学院のように箱根路から離れて長い“古豪”の大学にとっては授業料・入学金が免除になる『特待生』の条件は、高校生が進学先を選ぶにあたってとても重要な要素です。

 例えばウチではいま、特待生の枠が3人、スポーツ推薦での入学が概ね7人ほどで、1学年約10名の選手に毎年入学してもらっています。ただ、現実的には特待生の枠だけで10名くらいにならないと、なかなか箱根駅伝出場……というのは難しいと思います」

“ブランド大”との熾烈なリクルーティング競合

 そう上野さんが語る理由が、いわゆる“ブランド大学”との競合だ。

「実際にぶつかることはほとんどないですが、例えばウチと早大さんの両方から声がかかった場合、やっぱりその大学の歴史やいわゆるブランドの持つ力というのは大きい。他にもMARCH(明大・青学大・立教大・中大・法大)と括られるような有名大学と比較されるのであれば、他の大学は特待生のような金銭的なメリットがないと、なかなか親御さんも選手本人も選びにくいというのがリアルなところなんです」

 だからこそ、そういったブランドをもたない学校は前述の入学金・授業料に加えて、寮費の免除や、個々人にトレーニングのための資金援助を行うケースもあるそうだ。

「寮費も普通にいけば食費も含めて月に7万~8万円くらいはかかるわけですよね。それがないだけで親御さんもだいぶ楽になる。こういってしまうと身もふたもないですが、これだけ箱根駅伝が大イベントとなり、各校のスカウト網が発達している現代ではリクルーティングで7~8割が決まってしまうと言っても過言ではない。だからこそ、各校生き残りをかけて、本気で取り組んでいるのだと思います」

 ちなみに上野さんによると、リクルーティング面での近年の成功例は、立教大と東京国際大だという。

【次ページ】 「目利き」で早めに選手に声をかけても…?

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