- #1
- #2
酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「岡田監督は“俺が助けてやる”という親父」“イチローに学んだオリ阪神OB”平野恵一が語る名将論「中嶋監督は選手の好き嫌いではなく…」
posted2023/12/26 17:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
11月末から12月24日、学生や社会人、外国人選手が集う「ジャパンウィンターリーグ」が開催された。その会場の1つである沖縄県宜野湾市のアトムホームスタジアム宜野湾のバックネット裏では、代表の鷲崎一誠氏と並んでグラウンドを見つめている人物がいた。
小柄だが、日に焼けて精悍な風貌には精気がみなぎっている。オリックス・バファローズ、阪神タイガースで攻守に活躍した平野恵一氏だ。現在は台湾プロ野球(CPBL)中信兄弟のファームの野手発展ディレクターを務めている平野氏にネット裏の一室で、じっくりと話を聞いた。
オリックスと阪神、セとパは何が違うのか
「(関西ダービーは)もう夢でしかなかった。本当に実現して嬉しいの一言ですね」
こう平野氏は切り出した。そもそもオリックスと阪神という球団に、どんな印象を持っていたのか? それを聞くと「全然違いましたね」と、具体的な記憶をたどる。
「全投手が打席に入るかDHを用いるのかの違いだったり、立ち位置としてもプレッシャーがかかる人気球団と、実力本位のモチベーションが高い球団という感じでしょうか。
パ・リーグ(オリックス)の野球は、投手のレベルがものすごく高かった。胸元に来るスピンの利いたボールを弾き返せなかったら使わない、という感じでした。逆にセ・リーグに行くと、今度は変化球で打ち取る投手が多かったんです。阪神では2番を打っていたんですが、得点差によっては『別に調子は悪くないけど投手を入れるから』と途中交代することも。それが最初に経験した違いでしたね」
印象深い松坂とダルビッシュ、セの投手では…
1度目のオリックスの頃に対戦して印象に残っている投手を聞くと、名前を挙げたのは松坂大輔だった。
「僕とは1歳違いで、高校時代も神奈川で対戦しています。ものすごく球が速くて馬力があるな、という印象でした。実際に対戦すると、堂々としているんですよ。例えば彼の真っすぐを安打にしたら、次の対戦でまた真っすぐ。スライダーを打ったら、スライダー。抑えるまで同じ球種を投げてくるのが、印象深かったですね。
当時、パ・リーグの投手陣は本当にすごかったです。今も投げている和田毅を筆頭に杉内俊哉、そして新垣渚などの松坂世代。ダイエーには斉藤和巳さんがいて、西武では松坂君の他に石井一久さんもいた。日本ハムでも武田久さんと(武田)勝さん、金村曉さん。楽天にはマー君(田中将大)もいましたからね。
松坂君のあとは、ダルビッシュ有君ですかね。