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「戦力に差があるので、正直…」箱根予選会で“地方勢”が感じた関東の壁…それでも「参加して本当によかった」と語った大学の本音とは?
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/20 11:01
箱根予選会を終えた立命館大の選手たち
チームそれぞれだった、箱根予選会の捉え方
また、予選会の全国化が発表されたのは昨年6月で、ややアナウンスが遅かった感は否めない。地方大学が腰を据えて箱根出場に向けた強化に取り組むには、スカウティングも含め、数年単位での準備期間が見込まれる。今後、定期的な開催が見込まれるのであれば、アナウンスの時期も検討していく必要があるだろう。
「夏に就任してから本当に時間がない中だったので、なかなか対策というものはできず正直、学生たちの体力を信じることしかできませんでした。将来的に開催していただけるのであれば、ちゃんと時間をかけて連戦できるような身体づくりをしたり、逆に適性を見極めて出雲じゃなくて予選会に集中する選手たちを分けたりといったチーム運営をしていきたいなと思います」
地方勢にとって今年の予選会出場は、来年に向けた強化プランの一つでもあったようだ。箱根駅伝の予選会である以上、本戦出場を目指すというのが名目にはなるが、挑戦の形は色々あっていいのではないだろうか。予選会を上手く活用した強化プランによって、地方の選手たちのレベルアップにつながれば、箱根駅伝の“世界に通用するランナーの育成”の精神にも相違しないはずだ。
地方の選手の中には金銭的な事情で地元にとどまるケースもある。寺田監督が言う通り、地方からでも箱根を目指せる余地があれば、そうした選手にとっての原動力となるはずだ。100回に一度の打ち上げ花火で終わらせるのではなく、記念大会での定期的な全国化、または日本連合チームの編成など、今後も多くの学生ランナーにチャンスを広げるための柔軟なあり方を、様々な角度から模索していく必要があるのではないだろうか。