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「戦力に差があるので、正直…」箱根予選会で“地方勢”が感じた関東の壁…それでも「参加して本当によかった」と語った大学の本音とは?
posted2023/10/20 11:01
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
Yuki Suenaga
10月14日、JR立川駅のコンコースには、恒例の箱根駅伝予選会出場校の幟旗がずらりと並ぶ。ただ例年と異なるのは、そのラインナップだ。関東の予選会常連校に挟まれるように、立命館大、札幌学院大、環太平洋大……といった地方大学の旗がたなびいていた。
第100回記念となる今年の予選会は、通過校が例年より3校増えた「13」になるとともに、参加資格が「関東学連登録者」から「日本学連登録者」に拡大。戦前に関西大が3度出場、1964年の第40回大会に立命館大と福岡大が招待されて以降、およそ60年ぶりに関東以外の大学に本戦出場のチャンスが与えられたのだ(2004年の第80回大会では日本連合チームを編成)。
全国に門戸が開かれた今大会には、札幌学院大、皇學館大、愛知工大、中京大、信州大、立命館大、京産大、大阪経済大、放送大学関西、環太平洋大、日本文理大の11校が各地方から参戦。東西南北から集った史上最多の57校が「13枚」の切符を争う形となった。スタート地点の立川駐屯地滑走路には、665人の選手たちが一斉に並び、さながら市民マラソンのような圧巻の光景が広がっていた。
地方勢トップでも27位…厚かった関東の壁
だが、地方勢にとっては関東との差を体感する21.0975キロが待ち受けていた。
地方勢のトップは京産大の27位(10時間54分22秒)。続いて立命館大が34位(11時間05分23秒)、皇學館大が35位(11時間10分00秒)だった。個人成績では、京産大の小嶋郁依斗(3年)が46位(63分07秒)、中村光稀(3年)が66位(63分36秒)、立命館大の大森駿斗(3年)が89位(63分49秒)と健闘。だが、チーム単位では予選会通過ライン(10時間39分47秒)に遠く及ばず。各地方を代表する大学が挑んでも、関東の壁は厚かったようだ。
関東の強豪校は「箱根」を中心に年間のトレーニング計画を組み立てていく一方、地方勢にとっては11月の全日本大学駅伝が最大のターゲットとなる。全日本は最長区間で19.7キロ。地方の選手たちが練習で20キロ以上の距離を踏む機会は限られていて、選手層も関東ほど厚くない。他の学生駅伝に向けた準備と並行しながら、そもそもハーフを一定のレベルで走りきれる10人を揃えること自体が難しかっただろう。