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「戦力に差があるので、正直…」箱根予選会で“地方勢”が感じた関東の壁…それでも「参加して本当によかった」と語った大学の本音とは?
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byYuki Suenaga
posted2023/10/20 11:01
箱根予選会を終えた立命館大の選手たち
「参加して本当によかった」と語った大学の思い
2011年の箱根駅伝10区で“寺田交差点”の伝説を残した國學院大OB・寺田夏生氏の監督就任で、大きな話題を呼んだ皇學館大。6月の全日本大学駅伝東海地区選考会では名古屋大に次ぐ2番手で、7年連続の伊勢路行きの切符を逃してしまった。
伊勢路復活に向けた強化策の一つとして、「レベルの高い選手たちと走ることで自分の立ち位置を把握して、さらに上を目指していくうえでのステップアップにしてほしい」と予選会出場を勧めた寺田監督。レースを終えた指揮官は朗らかな表情で選手たちをねぎらった。
「やっぱり関東の壁は厚かったな……というのが正直な感想でしたが、学生たちはそれぞれ目標に向かって死力を尽くしてくれました。ハーフを走り切る体力があれば苦手としている10000mの走りにも活かせますし、この挑戦は無駄にはならなかった。将来につながるトレーニングだったと僕は思っています。何より、ゴールしたときの充実した顔を見たら、やっぱり予選会に参加して本当によかったなと思いましたね」
指揮官がこう話す通り、心身ともにタフなレースを終えた選手たちの表情はみな明るかった。監督とともに「テラダ(寺田)ッシュ!」の掛け声で集合写真に収まる選手たちは、予選会という大舞台を終えた達成感に満ちていた。選手たちは敗戦の悔しさ以上に、次に向けて得たものが大きかったに違いない。
地方勢の選手の本音「戦力に差があるので、正直…」
チーム唯一の4年生としてレースを率いた松野颯斗は、地方から参加した意義をこう語る。
「どうしても戦力に差があるのでそこは正直、割り切っていて、あとは個人がどう走るか、自分のタイムとの戦いだなとは思っていました。でも、関東の大学と正面から勝負できるレースってあまりないですし、実力差が激しい中での一斉スタートというのも予選会ならではだと思うので、一流選手たちと走ることが地方の選手にとっての大きな刺激になるのかなと。それによって関東の選手たちが憧れから目標に変わり、選手たちのモチベーションにもつながるのかなと思います」
指揮官もまた同様に全国化に期待を寄せる。
「個人的には今回だけじゃなくて、定期的に開催してもらえれば全国の学生長距離界の活性化にもなるのかなと。関東の大学に進んだ子たちの中にも、地元の大学でも狙えるんだったら残ってやりたいという子もいると思いますし、全国から目指せたほうが面白いじゃないですか?
もちろん色々と難しいかとは思いますが、いろんな常識が変わっていく世の中なので、ちょっと関東学連さんに頑張っていただいて……(笑)。皇學館としてはやはり全日本を一番大事にしつつ、贅沢ですが、箱根を全国化してもらえればどんどんチャレンジしていきたいなとは考えています」