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佐々木朗希のメジャー挑戦批判に“2つの誤解”…あるMLBスカウトの本音「大学生の1位指名と同じだ」 獲得に乗り出す球団の“現実的なプラン”
posted2024/11/11 17:25
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
JIJI PRESS
ロッテ・佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムによるメジャーリーグ挑戦が正式に容認された。高校卒業後、NPB在籍5年を経ての挑戦は、日本ハムからエンゼルスへと移籍した17年オフの大谷翔平(現ドジャース)と同様。岩手県が生んだ最速165キロを誇る『怪物』は来季、どの球団で、どのようなパフォーマンスを見せるのか。今から興味は尽きない。
その中で気になるのが、米国での公示日となる。ポスティングシステムでは、公示から45日間の交渉期間が与えられ、その上で、23歳で日本人の佐々木には、海外選手獲得に関する「25歳ルール」が適用される。このルールでは、契約はマイナーとなり、契約金は各球団が持つ「インターナショナル・サイニング・プール」と呼ばれる限度額内に制限される。
「25歳ルール」は2016年に導入され、カナダとプエルトリコ以外の25歳未満か、プロ6年未満の海外選手が対象となる。契約に使える「インターナショナル・サイニング・プール」の金額は、一般的には各球団ともに年間500万ドル(約7億6000万円)から700万ドル(約10億6400万円)の範囲とされ、ESPNによれば、今季この枠を最も多く残しているのは、ドジャースの250万ドル(約3億8000万円)だという。日米でドジャース移籍が最有力と囁かれる中、ドジャースが佐々木獲得資金として、したたかにプールしていたとも考えられる。
公示は12月以降と考えるのが自然
だが、「25歳ルール」には、契約は1月15日から12月15日までという規則もある。仮にロッテと佐々木サイドが12月15日までの契約締結を目指し、早急にポスティング申請を済ませば、用意できる契約金はドジャースが最高となるが、それ以降となれば、新たな契約は1月15日からとなり、新年度を迎えインターナショナル・サイニング・プールの金額もリセットされる。
米メディアによれば、来季の最高額は現状でマリナーズ、レイズなどの8球団が755万5500ドル(約11億7880万円)を保持している。最少はドジャースとジャイアンツの514万6200ドル(約7億8222万円)。契約金額が増えることは、ロッテへの譲渡金が増えることにもなり、佐々木サイドにはプラスでしかない。申請を早急に済ませる必要もなく、45日間の交渉期間を考慮すれば、公示は12月以降と考えるのが自然だろう。
参考までに、17年オフの大谷翔平とエンゼルスの契約金は231万5000ドル(当時のレートで2億6000万円)、日本ハムへの譲渡金は2000万ドル(約22億4600万円)が分割で支払われた。