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石川祐希に仰天のビーチバレーオファー、元日本代表・清水邦広は“二刀流”に挑戦中…50歳にしてムキムキの現役レジェンドが描く「バレーボール界の未来図」 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph byKoichi Nishimura

posted2023/10/12 11:03

石川祐希に仰天のビーチバレーオファー、元日本代表・清水邦広は“二刀流”に挑戦中…50歳にしてムキムキの現役レジェンドが描く「バレーボール界の未来図」<Number Web> photograph by Koichi Nishimura

西村晃一(右)と中央大学時代の石川祐希(西村晃一提供)

 大きな違いは風である。インドアでは風に左右されることはまずないが、ビーチバレーは海風にさらされ、風向きも気まぐれだ。清水はこういった感覚の違いに戸惑いながらプレーした。

 西村はさすが、競技歴22年の百戦錬磨である。彼がトスをする姿は、ビーチバレーの第一線で戦い続けてきた証でもある。両腕を天にかざしながら、トスを上げる。その瞬間、ボールは絶妙に手のひらに吸いつき、離れていく。優しいトスである。まるでガラス細工のボールを包み込むかのような、こまやかさがある。レシーブでもボールを乗せるように運んでいた。

「インドアのボールは軽いので、手先で扱うだけで飛びます。でも、ビーチバレーでは手先でこねるようにパスしたら、全部、流れていくんです。本当にゼロコンマ何秒の差ですが、ボールが手に接触している時間をいかに長くするかが、すごく重要です。長く手に張り付いている分、ボールは流れません。あとは風向きを読んで、右から左に吹いていたら、ちょっと右側に出すべきだと計算する。ビーチをやっていれば考える力が増しますね。これって、インドアに戻った時にも、すごく生かされると思うんです」(西村)

「全部ひっくるめて同じバレー」

 また、砂の上をジャンプすることで足腰の筋力やバランス感覚が養われるという。着地の衝撃も砂が吸収するから、ストレスがかかりにくい。清水も利点を説明した。

「自分は膝がよくないので、リハビリの一環としてもいい。ビーチは砂が柔らかくて、インドアよりも衝撃が少ないですからね」

 海外ではインドアとビーチバレーを行き来し、世界で活躍する選手もいる。清水もまた、インドアに軸足を置きながらも、バレーボール選手としての幅を広げようと模索している。

「楽しみながらやっていって、その中で目標を決めていきたい。いろんな選手がインドア、ビーチの両方をやっていけたらいい。インドアの選手の中でも、ビーチバレーに興味がある選手はたくさんいます。全部、ひっくるめて同じバレーですからね」(清水)

温め続けるプロリーグの夢

 西村が石川や清水ら国内のトップ選手をビーチバレーに誘うのは、将来的なプロリーグの夢を温め続けるのも背景にある。国内外の有力選手を招集し、日本中の大都市を転戦するアイデアを持ち、実現の可能性を探り続けている。その原点にあるのは、世界中を転戦した経験である。

「それまではビーチバレーは海辺でやるスポーツという認識しかなかったのですが、世界中を回っているうちに“え、ここでやるんだ”という気づきがあったんです。これがビーチバレーのエンタメなんだって。お客さんもすごく熱狂していました」

【次ページ】 「一番のエンタメスポーツに」

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