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バレーボールPRESSBACK NUMBER
石川祐希に仰天のビーチバレーオファー、元日本代表・清水邦広は“二刀流”に挑戦中…50歳にしてムキムキの現役レジェンドが描く「バレーボール界の未来図」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byKoichi Nishimura
posted2023/10/12 11:03
西村晃一(右)と中央大学時代の石川祐希(西村晃一提供)
日本にはない熱量にカルチャーショックを受けた。06年はワールドツアーのフランス大会で男子日本人初となる7位入賞を果たし、アジア大会にも出場した。15年はアメリカプロツアー(AVP)に日本人として初参戦で入賞。西村は海外選手のプレーだけでなく、試合会場の雰囲気にも強い刺激を受けた。AVPで米国中を転戦した時、ツアーのオーナーに言われた言葉が心に残る。
「どこでやるかがすごく大事だ」
だから、本来はミスマッチであるはずの渋谷のど真ん中にコートを作り、プレーすることに決めた。来年夏のパリオリンピックは、エッフェル塔の真下の公園に仮設されるコートが会場になる。世界のビーチバレーはどこまでも自由なのだ。
「一番のエンタメスポーツに」
「ビーチバレーが“世界でそんなに人気なの?”ってことも、日本では知られていません。自分がビーチバレーに転向した使命として、日本やアジアに広げていきたいという思いがあります。エンタメを入れて、お客さんも選手も楽しめる、一番のエンタメスポーツにしたいと思っているんです」
西村は行動派である。各スポーツ団体のトップを訪ねて教えを請い、リーグ戦を運営する方法も学んできた。50歳で現役を続けるのも、本人の言葉を借りれば「選手目線でいられるから」だという。プレーヤーとしての視点を保ちつつ、運営にも力を入れる。石川や清水に説いた「二刀流」の考え方は、ビーチバレーにとどまらず、日本バレーの風景を変えるキッカケになるかもしれない。
西村が立ち上げたWINDSでは小中学生向けのアカデミーも行っている。
「インドアのバレーボールをやったことがない子もいるんです。それがすごく面白くてね。インドアの全国レベルの子がビーチバレーをするよりも、ビーチバレーを1年しかやっていない子の方が強い。それくらい、ビーチバレーって難しいんです」
いずれはビーチバレーからインドアに転向する「逆ルート」も思い描く。
渋谷にも空がある。ここから自由に、どこへでも飛んでいける。西村が発するメッセージは、そんなことを我々にも伝えようとしているのかもしれない。
〈前編から続く〉