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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「スパイク、打たせてください」と監督に直訴も…バレーボール日本代表の「初代リベロ」西村晃一が歩んだ“異端”の道〈セリエAドタキャン →ビーチ転向〉
posted2023/10/12 11:02
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Koichi Nishimura
50歳にしてビーチバレーボールで現役を続ける西村晃一。バレーボール日本代表の「初代リベロ」はなぜ、セリエAの契約を“ドタキャン”してビーチ転向の道を選んだのか。異色のアスリートがその生き様を明かした。【全2回の前編/後編を読む】
男子バレーボール日本代表の石川祐希と高橋藍が女性誌「anan」の表紙に2カ月連続で登場するのだから、その華やかさは本物なのだろう。かつてのバレー界のプリンス川合俊一もアイドル青山繁も、文字通りなのかはともかく“顔負け”の注目度の高さである。
彼らはコートでも万能だ。10月7日のW杯スロベニア戦。3セット目はラリーの応酬になった。高橋藍がこぼれ球を片腕でレシーブし、石川がスパイクを決めて7点目を奪ったが、トスを上げたのはオポジットの西田有志だった。来夏のパリ五輪出場権を掴み、7月のネーションズリーグ銅メダルに続き、実力を証明した。
50歳にして現役の“異端のバレーボーラー”
「自分が理想とするバレーにすごく近い。みんながパスもトスもすべてのポジションをできる。バレーボールは、これまで分業化されてきました。レフトはレフト、ライトはライトって。それって、あまりにも面白くなくて。いまは、あらゆる選手がどこでも活躍する全員バレーができていますよね」
少々、羨ましそうに話す人がいた。西村晃一。異端のバレーボーラーである。
6月に50歳になったが、今なお現役でコートに立ち続ける日本ビーチバレーボール界の第一人者だ。この夏も炎天下のビーチで砂まみれになりながら、ボールを追った。いったい、その活力はどこから来るのか。
「僕は人が思うほど、年齢って気にしてないんです。毎日練習しているし、落ちるモノがない。自分の頭の9割をビーチバレーが占めている。バレーが好きなんです」