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JリーグPRESSBACK NUMBER
あの“マツコ番組”で取り上げられず「めちゃくちゃ悔しいです(笑)」 横浜F・マリノス運営担当に聞く“ウマすぎるスタジアムグルメ”が生まれるまで
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/09/29 11:03
SNS上でもたびたび注目を集める「#マリノススタグル」は、いかにして発展を遂げていったのか。横浜F・マリノスの運営担当者を直撃した
モバイルオーダーの導入も部分的に実施しているが、まだ課題は多い。鈴木さんは運営担当として、グルメ部門の充実と同時に、安全性の確保やイベント全体の円滑な進行を両立させる立場にある。「あちらを立てればこちらが立たず」という微妙なバランスのなかで、さらなる発展を求めるのは容易ではない。どんな仕事においても、天井をより一層高くすることは、天井まで達する行程よりも難しいものになることが多いのかもしれない。
あの“マツコ番組”では取り上げられず…
それでも、SNS上でたびたび話題を集める「#マリノススタグル」のスゴさは、これからますます広がっていくだろう。前スタグル担当の矢野さんは言う。
「アンジェ・ポステコグルー前監督(現トッテナム監督)が来てから、サッカーだけでなく運営側の意識もアグレッシブに変わりました。ボスが掲げた“アタッキングフットボール”に影響されたのは、選手たちだけではないんです。ピッチ上の価値観と運営方針ががっちりリンクして、よりクラブとしてのビジョンが明確になりました」
2017・18年にF・マリノスに選手として在籍していた鈴木さんも、ポステコグルー監督就任による変化を感じていた。
「数年離れていた間に、クラブの雰囲気が変わりすぎていてビックリしました。今のF・マリノスからは、キャプテンの喜田拓也選手を中心とした強固な“ファミリー感”を感じますよね。『マリノスファミリー』という言葉も内外に浸透しましたし、会社全体の雰囲気が変わったように思います」
今年7月に放送された『マツコの知らない世界』(TBS系)のスタジアムグルメ特集では、野球のスタジアムばかりが取り上げられた。鈴木さんは「本音を言うと、めちゃくちゃ悔しかったです(笑)」と闘志を燃やしている。
もちろんクラブが目指すゴールは「スタグル日本一」ではなく、試合を観てもらうことであり、サポーターと勝利の喜びを分かち合うことであり、タイトルを獲得することだ。だが、鈴木さんは「試合を楽しんでもらう」ではなく「スタジアムを楽しんでもらう」という言葉を使う。運営面も含めて常に進化を目指し、スタジアム全体が一体となることで、常にタイトルに絡む現在のF・マリノスの強さが生まれている。
「先日移籍したマルコス・ジュニオールも、最後の挨拶で“ありがとうキー坊”(喜田の愛称)って言ってましたよね。みんなでかめはめ波をして笑顔で送り出して……。本当にいいファミリーですよ」