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JリーグPRESSBACK NUMBER
あの“マツコ番組”で取り上げられず「めちゃくちゃ悔しいです(笑)」 横浜F・マリノス運営担当に聞く“ウマすぎるスタジアムグルメ”が生まれるまで
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/09/29 11:03
SNS上でもたびたび注目を集める「#マリノススタグル」は、いかにして発展を遂げていったのか。横浜F・マリノスの運営担当者を直撃した
取材班はキックオフ直前まで食べ続けた
8月19日の日産スタジアム。キックオフまでおよそ1時間30分、徐々に暗くなってきた空の下、キッチンカーが並ぶトリコロールランドは両チームのサポーターでごった返している。筆者と編集のA氏は大階段に腰かけ、丁寧にドリップされた『WEEKEND』のアイスコーヒーを飲みながら、まったりとした休憩時間を過ごしていた。
3軒目の取材を終えたあとも、我々はここぞとばかりに食べ続けていた。しっとり柔らかな塊肉のローストポーク「ポルケッタ」が人気の『コルポデラストレーガ』のスペシャルBOX(1600円)は、牛肉のペポーゾや手羽元のスパイシーグリルに、ナスのポルペッタ、さらに濃厚なワタリガニのビスクまでついた大盤振る舞いのメニューだ。
A氏は「スタジアムでこんな本格的なイタリアンが食べられるなんて!」とまたしても感動しつつ、「熱中症対策のために水分と塩分を補給します」という謎のエクスキューズをつけて『NOODLE STAND 栗原商店』の冷やしラーメン(1100円)も購入していた。「魚介の旨味がヤバいです」と衰え切った語彙力で食レポするA氏のすすめで、筆者も冷たい麺とスープをいただく。直射日光で火照った頭がすっきりとクリアになり、同時に「職権乱用」というワードが頭に浮かぶ。2人とも完全に忘れかけているが、これは取材なのだ。
アイスコーヒーを片手に、満腹感からくる試合後のようなチルアウト感にどっぷりと浸かっていた我々だったが「ビクトリー!」という掛け声で意識を取り戻した。数時間前に話を聞いた『GRILL TOKYO』の店員さんたちも、サポーターと笑顔で拳を突き上げている。
「せっかくの“取材”ですし、もうちょっと食べていきますか!」
A氏の言葉に「待ってました」とばかりに応じる。
「実は念のため、事前にモバイルオーダーも使ってみたんですよ。あ、あと途中に点心もありませんでした?」
結局、我々はキックオフ寸前まで“取材”を続けた。
1-1の同点で迎えた後半アディショナルタイム。地を這うようなミドルシュートで劇的な決勝ゴールを決めたF・マリノスの渡辺皓太が、第3子を妊娠中の妻のためにボールをお腹に入れるパフォーマンスを披露した。その様子を撮影しながら、ボールを入れるまでもなく膨れ上がった自分の腹に思わず苦笑してしまったカメラマンがいたことを、ここで白状させていただきたい。
<前編から続く>