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JリーグPRESSBACK NUMBER
あの“マツコ番組”で取り上げられず「めちゃくちゃ悔しいです(笑)」 横浜F・マリノス運営担当に聞く“ウマすぎるスタジアムグルメ”が生まれるまで
posted2023/09/29 11:03
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
「老若男女のみなさまに届くものを目指すのなら…」
「F・マリノスに入る前、ベイスターズさんの試合をよく観に行っていたんです。横浜スタジアムは、仕事終わりの居酒屋代わりになるくらい飲食に力を入れていました。赤レンガ倉庫のイベントなどに行っても、グルメに力を入れることでお客さんがたくさん集まって賑わっている。それらと比べると、同じ横浜でも我々は少し訴求が足りていないのかな、と」
2017年から横浜F・マリノスで働く現広報担当の矢野隼平さんは、入社当時をそう振り返る。
入社後、矢野さんは運営担当として、スタグルの質を高めるべく奮闘した。現在は新横浜駅側(東側)と小机駅側(西側)の両方にズラリとキッチンカーが並ぶが、まずは東側の「トリコロールランド」を充実させることを目指し、試行錯誤を重ねていった。
2018年に「肉フェス」や「カレーフェス」といったメニューのテーマを絞って盛り上げる企画を実施したとき、矢野さんは“あること”に気づかされたという。
「ジャンルを絞ると、それを食べられない人がいるんです。スタジアムまで足を運んでくださる老若男女のみなさまに届くものを目指すのなら、ジャンルを絞るべきではないな、と感じました」
特定ジャンルのグルメフェスはそれを目指して来る人たちで賑わうが、Jリーグのスタジアムに来る人たちの共通項はあくまでもサッカー観戦であり、好むグルメのジャンルが一致するわけではない。現在の「多様なメニューがあり、だれもが試合前からおいしいグルメを楽しめるスタジアム」という形態にはその教訓が活かされている。「中華街のメニューがたくさんある」といった“横浜らしさ”を追求していない理由も同様だ。
「鹿島アントラーズさんのもつ煮のように“名物”を作ることも考えましたが、たとえば横浜のイメージに沿って中華のお店ばかりを増やすのは、現実的に少し厳しいなと思ったんです。話題性はあるかもしれませんが、本当の需要はそこにはないのかな、と」