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「井端弘和のような堅実さ」23歳の仕事人・長田智希が見せていた“実はスゴイ”守備「高校2年から危機管理能力の高さは抜きん出ていた」 

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野澤武史

野澤武史Takeshi Nozawa

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/09/20 17:23

「井端弘和のような堅実さ」23歳の仕事人・長田智希が見せていた“実はスゴイ”守備「高校2年から危機管理能力の高さは抜きん出ていた」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

イングランド戦に先発出場した長田智希。野澤武史氏が“すごい守備”と代表になるまでの成長秘話を解説してくれた

ラグビー界のアライバ

 進学した早稲田大学でも色々なラグビーを学び、埼玉WKでは高いレベルの競争の中でスタメンを勝ち取った。早稲田大の大田尾竜彦監督に話を聞くと、長田のストロングポイントのキーワードは「リピートスプリント」なのだそうです。つまり、爆発的だけど持続力がないスピードではなく、80-85%くらいのスピードで、何度もスプリントを繰り返すことができる。埼玉WKの渡瀬裕司・戦略推進ディレクターは、彼のアクセル(プレー中の加速)の回数のデータも、他のバックスに比べて20-30%くらい多いのだと話していました。状況を的確に読み、惜しみなくハードワークする長田のプレーの土台には、それを可能にするための抜群のフィジカル能力もあるというわけです。

 相手のトライを防ぐ強烈な「トライセービング・タックル」はラグビーの華ですが、流れを紐解くと、実はDFの出足が遅かったところで危うく食い止めたプレーだったということもあるものです。野球に例えれば、元々の守備位置が悪かったためにダイビングキャッチになってしまうというようなところでしょう。そういった意味では、長田のプレーは往年の中日・井端弘和さんのようなもの。常に相手の動きを予測して、堅実に確実に守り抜く。やはり堅守を誇る中村亮土(東京SG)とのCTBコンビは、さしずめ“ラグビー界のアライバ”と言ったところかも? ぜひ、長田に注目して試合を見返してみてください。全てのポジショニングや行動に意図があり、ラグビーの奥深さを感じられるはずです。珠玉のプレーをアテにお酒も進むと言うものです(笑)。

(構成:佐藤春佳)

野澤武史(のざわ・たけし)

 1979年4月24日、東京都生まれ。慶応大ラグビー部主将を務めた日本代表4キャップのフランカー。現在はユース育成に尽力。「スポーツを止めるな」代表理事。教科書で有名な山川出版社の社長でもある

#3に続く
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