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「井端弘和のような堅実さ」23歳の仕事人・長田智希が見せていた“実はスゴイ”守備「高校2年から危機管理能力の高さは抜きん出ていた」
text by
野澤武史Takeshi Nozawa
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/09/20 17:23
イングランド戦に先発出場した長田智希。野澤武史氏が“すごい守備”と代表になるまでの成長秘話を解説してくれた
僕が長田を初めて見たのは2016年の「コベルコカップ」に近畿代表として選ばれた時でした。当時は東海大仰星高の2年生でU-17の日本代表候補。僕はリソースコーチとして参加していたのですが、当時からディフェンスの力と、危機管理能力の高さは抜きん出ていました。当時CTBは12番が長田、13番は身長190cm以上ある秋田工業高の児玉樹(現・秋田NB)というコンビだったのですが、縦に行く児玉と横に行く長田という感じでユース世代ではまさに無敵。長田のタックルレンジは横幅35mくらいあって、彼ひとりでグラウンド半面くらい守っちゃう、といった感じでした。
東海大仰星で磨いたディフェンス
東海大仰星高時代の湯浅大智監督にお話を伺うと、実は長田が在籍していた3年間というのはちょうど、東海大仰星がディフェンスを強化していた時期だったのだそう。彼が入った年には、前に出るディフェンスのいわゆる「詰め」を取り入れ、2年時には「ドリフト」という前に出た後に外のスペースを埋めていくディフェンスに取り組み、3年時には今の仰星のDFシステムの原型ができた。湯浅監督は「チームづくりのタイミングでたまたま、彼の高校時代がディフェンスにフォーカスする時期になった。もちろん長田が抜群の資質を持っていたこと、非常に勤勉だったことが大きいと思います」と話していました。
ディフェンスには色々な種類があるのですが、大きく分けると前に出るか、前に出ずに横の連携を強めるか、という2つになる。普通は同じチームでそのシステムを大きくは変えないものですが、長田は偶然その両方を取り入れた時期を過ごせたことで、対応力や適応力を磨く素地になったのだと思います。