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清宮海斗27歳はもはや“期待の若手”ではない…新日本プロレスのイチオシ「令和闘魂三銃士」を相手に“ノアの代表”が見せつけた違いとは
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/07/24 17:00
7月21日、『G1 CLIMAX 33』の海野翔太戦で雄叫びをあげる清宮海斗。「ノアの若きエース」が新日本プロレスの真夏の祭典で輝きを放っている
清宮海斗がG1で塗り替えた「イメージ」
しかしそれはあくまでも「ひとまず」だった。G1が始まり、彼らの戦いを目にすることで、ファンにも変化が生じている。
「令和闘魂三銃士」と名付けられた3人は猛反発したものの、名前はもっとも簡単な呪いだ。一度名前がつくと「無」には戻れない。反発しても、否定しても、すでにその名前によって新しい視点が生まれてしまっている。彼ら3人の内にある「負けたくない」という意識はさらに強固なものになり、ここまでに行われた海野vs.成田、辻vs.成田の直接対決はいずれも時間切れ引き分けに終わっている。
そんな中、ファンからすれば「3+1」の1のような感覚だった清宮は開幕戦で辻に勝利。海野とは引き分けたものの、試合内容では一つひとつの技の的確さや試合運びの巧さで違いを見せつけており、「負けなかった」ではなく「勝ちを逃した」と言えるものだった。そのぶん本人は「負けと同じくらいの失点1」と悔しがることになったのだが、若くして団体の顔となった清宮の経験の濃密さが、試合を通じて新日本のファンに伝わり、「躍進を期待する若手」というイメージの外側を「さすがノアの代表」という印象が覆うようになってきている。
面白いもので、清宮に対するイメージの変化は、一度はフィルターによって曇らされてしまった「令和闘魂三銃士」への期待にも繋がっている。
長岡大会のメインで行われたSANADAと辻の一戦では、試合開始直後のコール合戦で辻への応援が新潟出身のSANADAと互角か、それ以上のものとなっていた。さらに試合終盤、辻がSANADAを追い詰めたところでSANADAコールではなく「陽太コール」が巻き起こり、自分たちが発生させたコールに場内がざわつく……という事態が起こった。
清宮の次戦は7月25日の後楽園ホール。相手は3連勝でAブロックの首位を走る王者・SANADAだ。ノアを広めるために優勝を目指す清宮は、この試合を通じて「さすがノアの代表」という印象をも超えて、「脅威の外敵」という新たなイメージをまとうことができるだろうか。そして8月5日、三銃士の3人目・成田とぶつかる大阪でのリーグ最終戦で、ファンは彼らをどんな目で見ているのだろうか。
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