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「もう顔面蹴るのはやめてよ」オカダ・カズチカの強さにノアのファンも諦めのため息…清宮海斗は“圧倒的な差”を埋めることができるのか?
posted2023/02/25 17:00
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
2発目のレインメーカーが炸裂すると、ノア(NOAH)のファンも「ああ……」という諦めを含みつつ3カウントを数えるしかなかった。1発目ではあった「返せ!」という声が飛ぶことは、もうなかった。
1発目のレインメーカーをカウント2で返したのは、清宮海斗をカバーしていたオカダ・カズチカ自身だった。グッタリする清宮を引き起こし、有無を言わせぬ表情を東京ドームの観衆に見せつけると、延髄切り、変型エメラルドフロウジョン、そしてレインメーカーと怒涛のダメ押し。圧倒的な差を見せつける勝ち方に、間違いなく3カウントが入ることを理解していながらも、オカダが勝つことを望んでいた側でさえも1発目の時よりもローテンションな、呟くような3カウントが重なり合った。
すると、「決着した」という事実だけを残してオカダはあっさりとリングを下り、倒れたままの清宮を一瞥することなく退場していった。もうすでに興味を失ったとでも言わんばかりの無表情で。圧倒的な差を、その場の全員に飲み込ませて。
スピーディーな進行、試合前には長期戦の予感も
2月21日、祝日ではない平日の火曜日。ノアとして18年ぶりとなる東京ドーム大会は、3万人の観衆を集めた。メインイベントの“プロレスリングマスター”武藤敬司の引退試合を目に焼き付けようと全国各地から様々な年齢層のファンが駆けつけたこの大会のセミファイナルで、IWGP世界ヘビー級王者(オカダ・カズチカ/新日本)とGHCヘビー級王者(清宮海斗/ノア)の現チャンピオン同士によるシングルマッチが実現した。
大会は平日としては早い時間に始まった。「STATING BATTLE」の 3試合は16時から、大会前半戦にあたる「PRIMARY STAGE」の4試合は17時からのスタートだ。
試合ごとに煽りVが流されるというわけではなく、各試合の選手退場から次の試合への進行も非常にスピーディー。さらに、選手コールが各選手の入場時に行われたことや、試合後にマイクアピールをする選手がいなかったこと、長期戦になる試合がなかったことなど様々な要素が重なり、大会前半戦が終了してから20分弱の休憩を挟んでも、後半4試合の「MASTER STAGE」が始まったのは18時30分とかなり早かった。
そこから2試合が終わっても、まだ19時を少し回ったところ。こうなると、セミファイナルのオカダvs.清宮は長期戦になるのでは、という予感が漂ってきた。