突然「令和闘魂三銃士」と命名された3人は…

　1月、横浜アリーナでオカダの顔面を背後から蹴撃すると、2月の東京ドームではIWGP世界ヘビー級王者・オカダとGHCヘビー級王者・清宮という状態でのシングルマッチが実現。ここでオカダが格の違いを見せつけて完勝してみせたことで、新日本のファンには「団体の威信をかけた戦いの代表」というよりも、「あのオカダに噛みついた活きのいい若い選手」というイメージが定着するようになった。

　G1のブロック分けが発表されると、「躍進を期待する若い選手への期待」という側面はますます色濃くなった。現IWGP世界ヘビー級王者のSANADA、そして開幕を前に「令和闘魂三銃士」と命名されることになる辻、海野、成田蓮の3人と同じAブロックに組み込まれたからだ。

「俺が新日本を面白くしてやる」と豪語する29歳の辻陽太

　Aブロックに揃った3人の若手が、会社から突然「令和闘魂三銃士」と命名されたことは、見る者に新たな視点を与えた。

　名付け親である木谷高明オーナーの狙いは、「3人を知ってもらうこと」だったという。彼らは注目に値する存在なのだと広く知ってもらい、現在の新日本がより入り込みやすいものになれば、団体全体の盛り上がりに繋がることになる。

辻陽太、海野翔太とともに「令和闘魂三銃士」と命名された25歳の成田蓮

　ところが、三者三様のやり方で新日本のトップを狙っていた本人たちは一括りにされることに猛反発。ファンからも多くの否定的な声があがった。一方で、「令和闘魂三銃士」に賛でも否でも、名前がついたことによって半ば強制的に新しい視点がもたらされることになった。

　G1優勝予想大討論会に出席したグレート-O-カーンはこう言った。

「（会社が）あの3人だけを優遇しているように見えるし、Aブロックに集められたのも意図があるようにしか思えない」

　その否定的なフィルターは、帝国民ではないファンにもかかっていた。結果、Aブロックにおいて「果たしてどこまで駆け上がってくれるのか」という純粋な期待は、ひとまず外敵であるはずの清宮に集まることになった。

【次ページ】　清宮海斗がG1で塗り替えた「イメージ」