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清宮海斗27歳はもはや“期待の若手”ではない…新日本プロレスのイチオシ「令和闘魂三銃士」を相手に“ノアの代表”が見せつけた違いとは
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/07/24 17:00
7月21日、『G1 CLIMAX 33』の海野翔太戦で雄叫びをあげる清宮海斗。「ノアの若きエース」が新日本プロレスの真夏の祭典で輝きを放っている
プロレス界の活性化を象徴する「清宮海斗のG1参戦」
コロナ禍を抜けたプロレス界は、団体の垣根や海を越えた戦いが続々と実現している。それは『ALL STAR Jr. FESTIVAL』や『ALL TOGETHER』のような、いわゆる“お祭り”だけではない。
たとえば、我が道を行くエル・デスペラードが磁場となって次々と実現している刺激的な遭遇はまだまだ続き、8月にはFREEDOMSのリングで葛西純と再びタッグを結成し、竹田誠志・山下りなと激突。さらには、屋外での佐藤光留(パンクラスMISSION)との試合も控えている。
また、全日本の世界ジュニアのベルトはGLEATのエル・リンダマンのものとなり、ノアでは中嶋勝彦vs.宮原健斗(全日本)の危険な『One Night Dream』で後楽園ホールが超満員に。センダイガールズのリングでも橋本千紘vs.なつぽい(スターダム)が実現し……等々、一つひとつを挙げていたらキリがないほどだ。
そんな往来の活発な夏を象徴するかのように、清宮は新日本の真夏の祭典『G1 CLIMAX』に参戦した。自団体の真夏のリーグ戦『N-1 VICTORY』を欠場してまで単身乗り込む最大の理由は「ノアを広める」ためだ。
4ブロック、計32人がエントリーした今年のG1にはAEWのエディ・キングストンも名を連ねているが、彼は新日本のアメリカマット・STRONGの無差別級王座を持っている。しかも、日本のファンの前での感動の戴冠という形だった。さらにG1初戦では鷹木信悟とバチバチの肉弾戦を繰り広げ、その支持率はうなぎ上り。いまや彼を“外敵”だと見なしているファンはいないのではないだろうか。ゲイブ・キッドやアレックス・コグリンら新メンバーを加えて勢力再拡大中のバレットクラブという厄介な存在はあるが、他団体所属の日本人選手、わかりやすく“外敵”という立場になるのは清宮ただ1人だ。
しかし彼は、G1参戦が発表された時点で新日本のファンに歓迎されていた。
当然、他団体の顔である選手へのリスペクト、というのはあるだろう。
史上最年少のGHCヘビー級王座戴冠者であり、同王座を通算2度、そしてN-1(かつてはグローバル・リーグ戦)も2度制している清宮は、若くしてすでに団体の顔の1人だ。
しかし、新日本ファンの歓迎ムードを生んでいた要因はそこではなかった。むしろ「この夏の成り上がりを楽しみに見守る存在」としての歓迎だった。今年に入ってオカダ・カズチカと繰り広げた一連の戦いが、そうさせたのだ。