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[単独インタビュー]バウアー「投球は科学であり、芸術だ」

posted2023/07/07 09:00

 
[単独インタビュー]バウアー「投球は科学であり、芸術だ」<Number Web> photograph by Keisuke Kamiyama

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Keisuke Kamiyama

2020年のサイ・ヤング賞投手が今、プロ野球を席巻している。運動能力の低かった青年は、いかにして頂点に上り詰めたのか。そのルーツに迫るため、横浜スタジアムで話を聞いた。すると写真撮影の時、彼は意外なモノに興味を示した――。

 取材の日、トレバー・バウアーが最初に興味を示したのはカメラだった。

 この日、カメラマンはデジタルではなくフィルムで撮影していた。最近では珍しい。バウアーは質問したり、「フィルムだとフレーミングの設定により集中しなきゃいけないよね」などと初対面のカメラマンに話しかける。

 カメラの機種にまで興味を持つアスリートは少ない。しかし、この好奇心が成功の原動力である。バウアーの成長を手助けしてきた関係者はこう証言する。

「メジャーリーグどころか、ダブルA以上の選手でトレバーより運動神経が悪い選手はいないだろう。プロ野球選手の身体能力ではないんだ」

 ではなぜ、2020年にサイ・ヤング賞を獲得するまでに至ったのか。その源は、人並外れた好奇心と行動力だった。

 '11年ドラフトの1巡目・全体3位でダイヤモンドバックスに指名されたバウアーは、'12年にメジャーデビューを果たした。同年暮れにトレードで入団したインディアンスでは、'13年は1勝2敗に終わったが、体の痛みに悩まされていたという。

「鼠径部、腰、それに上腕。なぜ痛みが出たかというと、無理な動きをしていたからだったんだ。僕はティム・リンスカム('08、'09年サイ・ヤング賞)に憧れていて、彼のフォームを真似していたんだけど、それがトラブルの原因だった」

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