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甲子園の風BACK NUMBER
“7時間目まである公立進学校の野球部”の意識改革はイチローさんの指導から…「考え方や姿は選手に響いた」かけがえのない経験とは
text by
間淳Jun Aida
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/06/18 11:01
イチローさんの指導を受けた際の県立富士高校。彼らは稀有な経験を得て、どんな気づきを得たのか
二塁送球の練習をする捕手もいれば、マシンでバント練習する打者もいる。前日の試合でフライを打ち上げた選手はティー打撃でライナーを飛ばす意識でバットを振り、投手の変化球を後逸した捕手はワンバウンドを止める動きを繰り返す。
稲木監督が就任当初、選手たちは自主練習を告げられても何をすれば良いのか分からず、何となくティー打撃を始める選手が大半を占めた。しかし、今では迷わない。日頃から自分やチームの課題を把握し、自主練習を有効活用している。
イチローさんの指導を受けてからは…
甲子園は憧れであっても、現実的な目標ではない。高校野球に取り組む意義を、どのように感じているのか。渡邉選手は「試合で見つけた課題を、次の試合までに改善することを目標にしています。限られた時間で上手くなる方法を考えて、工夫して練習する時間は野球以外にも生きると思っています」と語る。富永選手は「自主練習や課題練習に取り組むことで、自分に何が足りないのか、どんな練習をすれば課題を改善できるのか考えるようになりました。イチローさんの指導を受けてからは、野球を通じて何を学ぶかをより強く意識しています」と話した。
甲子園でプレーできる高校球児は限られている。華やかな舞台に立てなくても、高校野球を通じて得られるものは多い。直接指導を受けたイチロー氏の姿から、富士高校野球部は目指す方向性への自信を深めた。
《後編/#2につづく》
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