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《独占インタビュー》イチローが屈指の公立進学校をサプライズ訪問! なぜ高校生を教えるのか?「厳しさは必要です。愛のある厳しさが…」
posted2023/04/27 17:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Naoya Sanuki
現在発売中のNumber1072号掲載の[スペシャルインタビュー]イチロー「愛と厳しさの高校野球指導」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文は「NumberPREMIER」にてお読みいただけます】
◆◆◆
――神出鬼没のイチローさん、高校指導3年目となる昨年は、東京都立新宿高校、静岡県立富士高校の2校をサプライズで訪問しました。たくさんの高校がイチローさんの指導を希望している中、この2校を選んだのはなぜだったんですか。
「興味をもったのは、2校が野球を通じた地域への普及活動に熱心で、積極的な活動を続けていると聞いたからでした。今の時代、キャッチボールをする場所を見つけることすら大変で、僕が子どものときに練習をしていたグラウンドも今ではカギがかかっていて、許可を得なければ中に入ることもできないそうです。そんな現代に、野球をしている高校生が地元の幼児や児童に野球を知るきっかけを作ろうとしている……しかも彼らは進学校の生徒で、自分たちも野球にあてられる時間に制約があるんです。それでも地域の子どもたちのために野球の魅力を伝えようとしてくれているなんて……とても感銘を受けましたし、応援したくなりました」
――指導1年目は智辯和歌山へ行って、翌夏の甲子園で優勝。2年目は國學院久我山、千葉明徳、高松商業へ出向いて久我山が春の選抜でベスト4、高松商は夏の甲子園でベスト8という結果を残しました。イチローさんが来れば勝てるという空気になっていることについてはどう感じていますか。
「最初に智辯和歌山へ行ったのは、僕が一方的にファンであったことはきっかけとしてありますが、本気で甲子園での優勝を目指している高校を見てみたいという気持ちからでした。翌年は、『これまで越えられなかった壁を越えたい』という想いを届けてくれた高校へ行きましたが、その中で國學院久我山と高松商業が甲子園でベスト4とベスト8、見事に結果を出してくれました。もちろん僕が関わったからといって、すぐに結果に直結するものではありません。でも、こうしていくつかの高校が結果を出してくれたことで、野球が強いか弱いかを意識して訪問先を考える必要はなくなりました。だからこそ3年目は新宿高校と富士高校へ行くことが叶ったと思っています」
文武両道は理想です。僕もそうありたかったけど…
――イチローさんにとっても普通科の公立校は初めてで、両校とも難関大学への高い進学率を誇る都県内屈指の伝統校です。