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「選手とは、そらしゃべらんよ」タイガース・岡田彰布監督65歳の人心掌握術とは?「それを知ってしまったら、勝負に徹しきられへんやんか」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/05/01 17:01
今季より阪神タイガースで指揮を執る岡田彰布監督(65歳)。その人心掌握術とは?
「監督と話したことがない選手は結構、多いと思います」
そう明かす球団スタッフが何人もいる。監督復帰後、選手に歩み寄るシーンを何度か見ていたが、本性は変わっていない。
「そんなん、選手とは、そらしゃべらん、しゃべらん。グラウンドでは、ほとんどしゃべらないよ。選手との距離は置いてるよ。そういうスタンスは変わらない」
「知ってしまったら、勝負に徹しきられへんやんか」
優勝した'05年は戦力が充実していた。岡田は直接、選手に話しかけず、指導は基本的にコーチ陣に任せていた。
「監督になる前年、俺は守備走塁コーチやったから、チームも把握してるしな。('03年の)優勝チームだし、大人のチーム。手取り足取り教えることは、もう終わっている段階だった」
近年は指導者と選手が和気あいあいとしたチームも目立つが、岡田は流行に見向きもしない。
「選手とは食事にも行ってなかった。いまでも行ってない。どこかで一線を引いておかんと。情が入ってもあかんしな。だから、アレよ。俺、インセンティブ、聞かなかったからね。選手が言うてくるわけよ。『あと何試合か一軍に残してくれ』ってな。そういうことやんか。聞いたら、情が移ってしまう。そういうのを知ってしまったら、勝負に徹しきられへんやんか」
選手は契約によって、一定の試合数や成績を達成すれば出来高払いとしてボーナスが加算される。もし、チームの戦いに選手への私情が入り込めば、戦略は狂い、組織はバラバラになる。
「チームを預かるトップなんやから。全体を同じように見ないとな。選手の力関係は違う。でも、ある程度は平等に見ないと。勝つためには、これがベストかな」
嫉妬を生まない指導の工夫
岡田の指導者人生のベースは二軍だ。'96年から2年間、オリックスで二軍助監督と打撃コーチを兼務し、阪神でも打撃コーチのほか、4シーズン、二軍監督として指揮を執った。この時期に指導者と選手のあるべき関係を学んだのだという。
「団体競技のコミュニケーションに情はいらんで。はっきり言うて。俺は二軍を7年やったからな。その時に分かったよ。18、19歳のヤツでも、結構、監督の動きを見てるんよな。『また、アイツ、バッティング、教えてもらってる』とな。だから、グラウンドで言わないのよ」
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