岡田彰布⇔2023年の阪神<コミュニケーションの極意>
①犠打に立ち上がって“パータッチ”
②起用法はメディアを通して伝える
③みずからノックを受けて実演
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目を疑った。
阪神は開幕2戦目の4月1日、京セラドーム大阪でDeNAと戦っていた。5-5で、6回の攻撃に入る。無死一塁。8番の小幡竜平が2球目でバントを決めた。ベンチに戻ってくると、ナインが出迎えた。そこに、岡田彰布監督も立ち上がって“パータッチ”のしぐさを示したのだ。
18年前の姿が脳裏をかすめた。あのときは椅子に座ったまま、難しい顔をして試合の先読みをしていた。少なくとも、犠打を決めたくらいで、選手をねぎらう監督ではなかった。
ショートでレギュラー候補の小幡は3月、開幕直前のオープン戦で送りバントに失敗していた。岡田の“パータッチ”には意図があった。苦笑いしながら明かす。
「次元が低いかもわからへんけど、普通はバントなんて当たり前のことよ。まあ、一つのバントの価値観とかな。チームに対してもな。そのへんを一つ一つ、積み重ねていかんとな」
小技で生きなければいけない小幡にとってシーズン初の犠打だった。勝負師の珍しいしぐさは若者へのメッセージだろう。
「目線は下げないよ。一軍はこのレベルだという目線を下げたら、チームは強くならない。でも(選手との距離感は)ちょっとは妥協する部分はあるわな」
ほのぼのしたムードはなく、フィールドには張りつめた空気。
こんなこともあった。
4月4日、広島戦の4回に捕手の梅野隆太郎が西川龍馬の二盗を阻むため、小幡にセカンドスロー。きわどいタイミングでセーフになったが、指揮官は終盤に備えてリクエストを思いとどまった。攻守交代でベンチに戻った梅野と小幡に説明した。
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