#1072
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「選手とは、そらしゃべらんよ」65歳・岡田彰布、大いに語る〜「団体競技に情はいらんで」タイガース監督の人心掌握術〜

2023/04/28
昨年10月、岡田監督は甲子園の秋季練習で若手野手に実演で打撃指導した。前回指揮を執った当時にはない、とても珍しい光景だった
18年ぶりの優勝を目指す阪神に65歳のベテラン監督が復帰した。前回指揮した2005年は選手と距離を置くことで頂点に立ったが、若手が多い今季のチームをどのようにマネジメントしているのか。(原題:[虎将大いに語る]岡田彰布「選手とは、そらしゃべらんよ」Number1072号より)

岡田彰布⇔2023年の阪神<コミュニケーションの極意>
①犠打に立ち上がって“パータッチ”
②起用法はメディアを通して伝える
③みずからノックを受けて実演

◆◆◆

 目を疑った。

 阪神は開幕2戦目の4月1日、京セラドーム大阪でDeNAと戦っていた。5-5で、6回の攻撃に入る。無死一塁。8番の小幡竜平が2球目でバントを決めた。ベンチに戻ってくると、ナインが出迎えた。そこに、岡田彰布監督も立ち上がって“パータッチ”のしぐさを示したのだ。

 18年前の姿が脳裏をかすめた。あのときは椅子に座ったまま、難しい顔をして試合の先読みをしていた。少なくとも、犠打を決めたくらいで、選手をねぎらう監督ではなかった。

 ショートでレギュラー候補の小幡は3月、開幕直前のオープン戦で送りバントに失敗していた。岡田の“パータッチ”には意図があった。苦笑いしながら明かす。

「次元が低いかもわからへんけど、普通はバントなんて当たり前のことよ。まあ、一つのバントの価値観とかな。チームに対してもな。そのへんを一つ一つ、積み重ねていかんとな」

 小技で生きなければいけない小幡にとってシーズン初の犠打だった。勝負師の珍しいしぐさは若者へのメッセージだろう。

「目線は下げないよ。一軍はこのレベルだという目線を下げたら、チームは強くならない。でも(選手との距離感は)ちょっとは妥協する部分はあるわな」

ほのぼのしたムードはなく、フィールドには張りつめた空気。

 こんなこともあった。

 4月4日、広島戦の4回に捕手の梅野隆太郎が西川龍馬の二盗を阻むため、小幡にセカンドスロー。きわどいタイミングでセーフになったが、指揮官は終盤に備えてリクエストを思いとどまった。攻守交代でベンチに戻った梅野と小幡に説明した。

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photograph by NIKKAN SPORTS

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