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「WBC後遺症」と戦う侍投手陣のリアル…ヤクルト・石井弘寿コーチは「感覚のズレは数値にも出ている」自身は第1回大会のケガで手術
posted2023/05/01 11:01
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Naoya Sanuki
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の激闘から1カ月余り。14年ぶりに頂点に立った侍ジャパンの選手たちは、それぞれのチームに戻りレギュラーシーズンを戦い始めている。しかしプロ野球では特に、異なるボールへの対応を迫られたピッチャーを中心に調子の上がらない選手が目立つ。
日本ハム・伊藤大海投手は4月25日のオリックス戦で5回途中6失点で降板し3敗目を喫した。侍ジャパンではリリーフとして3試合に登板し無失点と大活躍したが、チームに戻り先発として登板した4試合はまだ勝ち星がなく、5月1日現在の防御率は5・82と苦しんでいる。1次ラウンド第4戦のオーストラリア戦で先発、準決勝・メキシコ戦で2番手として登板したオリックスのエース・山本由伸投手も登板4試合で2勝2敗。リリーフ陣を担った湯浅京己(阪神)、宇田川優希(オリックス)の両右腕は、コンディション不良のために出場選手登録を外れている。
難しい「“3月にマックス”の調整」
「一番難しいのはやはり、時期的な問題だと思います。みんなが4月からスタートするところを、まず3月にマックスの力で戦える状態を作っているわけですから。1カ月の違いと言っても、前倒しで調整をしてピークを作り、帰ってきてからまたシーズンに入るというのはかなり大変なことですからね」
そう話すのは、ヤクルトの石井弘寿・一軍投手コーチだ。剛腕リリーバーとして活躍した現役時代に第1回WBCに出場。大会中に左肩を痛めた経験をもつ。現在はブルペン担当としてセ・リーグ2連覇中のチームで腕をふるっているが、チームにはWBCで第2先発として1試合に登板した高橋奎二が先発ローテの大黒柱ということもあり、帰国後のコンディション調整には細心の注意を払っているという。