海外サッカーPRESSBACK NUMBER

「日本に力の差をつけられている」サッカーでも野球でも…韓国が抱く日韓の指導者格差の危機感 韓国はなぜ外国人監督に頼らざるを得ないのか? 

text by

吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

PROFILE

photograph byL) Kiichi Matsumoto/JMPA R) AFLO

posted2023/03/31 17:40

「日本に力の差をつけられている」サッカーでも野球でも…韓国が抱く日韓の指導者格差の危機感 韓国はなぜ外国人監督に頼らざるを得ないのか?<Number Web> photograph by L) Kiichi Matsumoto/JMPA  R) AFLO

サッカー日本代表の森保一監督(左)と韓国代表の新監督クリンスマン(右)

 それを考えてみることは、東アジアの地にあって、代表監督を探す条件を考え直す機会にもなる。2023年の現在、この方法しか発見されていない。

・国内リーグで結果を出した国内監督(認知度の高い元選手ならなおよし)
・同じく国内リーグで結果を出した外国人監督
・コーチからの昇格
・外国人監督
・以上を踏まえた上で、基本的にはその時期に契約がないこと。

日本と韓国の代表監督の土壌を比べてみると…

 森保一とは、サンフレッチェ広島を2012年から2017年までの間、3度のJリーグ優勝に導いた監督だ。

 ドーハ世代(1993年)の代表選手であり、認知度が高い。

 2018年ロシアW杯時のコーチでもある。

 さらに言うと、2005年にジェフユナイテッド千葉をリーグカップ優勝に導いたイビチャ・オシムと関係のある、ミハイロ・ペトロビッチの「弟子」だった。サンフレッチェ広島時代で監督・コーチの関係だったことは知られるところだ。

 そういった30年来の蓄積の中から出てきた監督でもある。

 いっぽう韓国はそこのところがかなり層が薄い。

 90年代の名選手で、後に指導者として成功したホン・ミョンボには2014年、2018年大会を任せる展望がなされていたが、結局ブラジルW杯敗退後のメディアのエグい報道に嫌気が差し辞任した。

 その後の2002年世代はほとんどが指導者にはならず。YouTuberも多い。

 日本はジーコ、オシムといった国内リーグにやってきた人物との繋がりも上手く代表監督人事につなげてきたが、それもなし。

 2005年に浦項スティーラースがブラジルから招き、在籍4年間でACL優勝や国内タイトルを多く獲得したセルジオ・ファリアス(現アル・ホール/カタール)監督などは良い人材に見えたが……。2009年オフに中東からオファーを受けるや、浦項側の話には一切耳を傾けず、韓国に戻ることもなく「ブッチ辞任」。

 結局、2018年と2022年の2度続けて「ゼロから慌てて外国人を探す」という状態になっている。なかなか東アジアには大物監督が来ないだろうに。良いギャランティーで引っ張れるわけもない。

WBC韓国代表の敗退にも繋がる話

 日韓のこういった状況のなかから注目すべきは、「かつての代表選手がいかに指導者として育つか」という話だ。代表選手であることがなぜ必要なのかというと、何のことはない。認知度が高い方が分かりやすいということだ。

 この点、先日のWBCでの韓国代表の敗退と話が繋がってくる。

【次ページ】 韓国球界の指導者は「勉強を全くしなかった」世代?

BACK 1 2 3 4 NEXT
#森保一
#ユルゲン・クリンスマン
#洪明甫

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ