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「プライド持てよ!」大谷翔平はなぜ“初めての日本代表”で一喝された?「今思えば、あの謙虚さが…」仲間たちが語る18歳大谷翔平の素顔
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byGetty Images
posted2023/03/20 11:01
2012年に18歳以下の世界選手権に出場した大谷翔平。藤浪晋太郎ら錚々たるメンバーと世界一を目指したが、結果は6位に終わった
今でこそ「侍ジャパン」の名の下にU-18日本代表が組織されているが、当時は体制が整っていなかった。例年は夏の甲子園と国際大会の時期が重なっていたため、高校日本代表として世界選手権に臨めたのは2004年以来のことだった。
だからこそ、日本代表監督を務めた小倉全由(日大三高監督)は「負けられない」というプレッシャーを感じていた。
「しかし、甲子園で最後まで戦っていたメンバーが中心でしたから、疲労の残っている選手もいました。一方、大谷選手は岩手大会の決勝で負けて実戦から離れていたせいか、合宿から制球を乱す場面もあった。チーム全体にコンディション面で、不安がありましたね」
開幕戦、その不安は的中する。第1ラウンドのカナダ戦の先発マウンドに送られた大谷は、四球も絡んで4回途中3失点で降板。チームは一時逆転するも、延長10回、タイブレークで敗れた。
初戦の躓きにより、チームは固くなってしまった。第2ラウンドの初戦も、コロンビアによもやの完封負け。ますます追い詰められ、エースの藤浪に頼らざるを得なくなってしまう。韓国戦は藤浪の連投で勝利し、残すアメリカ戦に「勝てば決勝進出」という状況まで持ち込んだ。
「こんなもんですよ」発言にコーチが一喝
その間、大谷の登板はなく、4番打者として出場。柔らかい打撃で広角にヒットを飛ばしていたが、ホームランは出ず、コーチの大野康哉(当時は今治西高監督、現・松山商高監督)の目には、その素質からすれば物足りなく映った。
ミーティングで大野が「大谷、まだまだこんなもんじゃないだろう」と発破をかけると、大谷は「こんなもんですよ」とサラリと返した。大野が苦笑いで振り返る。
「思わず、『これだけのメンバーの中でジャパンの4番を任されているんだから、プライドを持てよ!』と一喝してしまいました。今思えば、あの謙虚さが決して現状に満足しない貪欲さを生んでいるのだと分かりますが」