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《MotoGPテスト開始》そもそも何をテスト? 今と昔の違いは? 走りたがりのノリック&ニッキー、世界を股にかけた大治郎
posted2023/02/18 17:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
2023年のシーズン開幕を告げるMotoGPクラスの公式テストが、2月10日から12日までの3日間、マレーシアのセパンで行われた。熱帯特有のスコールのため1日に一度はウエットコンディションになることも多いが、今年は概ね、天候に恵まれた3日間だった。
その3日間を簡単に振り返れば、昨シーズン、ライダーズ&コンストラクターズタイトルを制覇したドゥカティが予想通り好調で、4チーム8台のうち、3日間のベストタイムでトップ10入りしたのが7選手とマシンのレベルの高さを見せつけた。
トップタイムはルカ・マリーニで、サーキットベストタイムに匹敵する1分57秒889をマーク。2番手にはディフェンディングチャンピオンのフランチェスコ・バニャイアでさまざまなテストメニューをこなしながら1分57秒969と上々のスタートを切る。以下、1分58秒台に18台がひしめきあう大接戦となる中で、アプリリアのマーベリック・ビニャーレスが3番手、アレイシ・エスパルガロが6番手につけ、結果的に9番手までドゥカティ&アプリリアが独占。今年もイタリアの2強がMotoGPの戦いをリードすることを強烈に感じさせた。
マシンの何をテストしているのか
それにしても、ウインターテストは時代とともに大きな変化を見せている。ワークスチームのテストメニューは多岐にわたるが、もっとも多くの時間を割くのは、往年のレースファンに「かっこ悪い」と不評なエアロパーツだ。その理由はいくつかある。
まずはシーズン中のエンジン開発が禁止されていることが大きい。そして1000ccで300馬力を超えるビッグパワーを加速と最高速につなげるためには、より効率のいいエアロパーツが必要になること。さらに、次々に投入される新しいエアロパーツはコーナーリングの安定性にもつながるため、そのテストに多くの時間を割くことになるのだ。
とは言え、現在のMotoGPクラスのテストは、あまりにも周回数が少なくて驚いてしまう。今回3日間の主力選手の周回数はだいたい140周前後。タイトル奪還に燃えるヤマハのファビオ・クアルタラロが155ラップ。昨年4度目となる右腕の手術を行って4年ぶり7回目のタイトル獲得を目指すホンダのマルク・マルケスが149ラップ。アプリリアのビニャーレスが145ラップ、2連覇を狙うドゥカティのバニャイアは136ラップ、KTMのエース、ブラッド・ビンダーが142ラップというものだった。